決めかねる本命小説一覧

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三十歳を過ぎた年代になり、結婚を意識するようになった芦沢丈晴は、会社の同期である時田耕作の複雑な恋愛関係に関わり、自分自身の恋愛も真剣に考えるようになる。 耕作と本間良子の社内恋愛は、複雑な様相を呈していた。 耕作との交友を通して知らされる内容は、恋愛経験の少ない丈晴を混乱させる。 本社営業本部長が率いる新組織のメンバーは、全国の優秀な主任クラスから選抜され、芦沢丈晴と時田耕作もそのメンバーに選ばれる。 新組織の営業本部窓口には、社内でも才媛と呼ばれ、華やかな恋愛経歴を持つ梅木友香が担当することに決まっていた。 丈晴の新組織加入メンバー発表と同時に、梅木友香から社内便ではなく、郵便で自筆の封書が届いた。 友香は、以前は総務部で管理者教育担当をしていた。 全社内の初級管理者から上位管理者まで、知らない者はいない。 高校、大学をアメリカで過ごした帰国子女の友香は、ピンヒールのハイヒールを履き、スーツ姿で颯爽と歩く。その姿に目を奪われる者は多い。そんな彼女からの手紙である。 入社以来、仕事一筋でやって来た丈晴は、友香からの手紙の意味を理解できずにいた。 丈晴は、行き付けのスタンドバー、ブーメランのオーナー兼マスターの竹中光雄に助言を求める。 竹中光雄は医師免許を持ち、嘗ては医薬品会社でMR(MR=medical representative=医療情報担当≒医薬品営業担当)として活躍し、のちに役員となった。 役員を早々に勇退して、第二の人生としてスタンドバー.ブーメランを開いた。 企業や会社に関することから、企業内組織や社内の人間関係、人事関係、社会人としての一般常識など、多くの分野に博識で、人生の機微を知り尽くした人物である。 丈晴は、仕事のことから恋愛事情まで、自分で迷っているときや、ヒントを得たい時などには、何時も竹中に聞いてもらっていた。 ブーメランには、マスターの友人の娘で、薬剤師の篠宮碧がアルバイトで店に来ていた。 碧は丈晴に恋心を抱いているが、丈晴には伝わらない。 丈晴に見合い話が来ていた。丈晴が「釣り書き」を見る前に、相手には好きなひとがあると分かり、話はなかったことになったと母から聞かされる。 後日、その相手が篠宮碧だったと知った丈晴は、複雑な思いで居た。 丈晴の恋愛観には、初対面の時、一瞬で感じ取る第一印象の良し悪しと、違和感の有る無しで、その後の関係の良否が決まると云う自論があった。 初恋の相手に感じた想いこそが、自分の理想の女性を意味していると……。 友香と碧、丈晴には、ふたりとも、第一印象好ましいものだったが……。 恋人選びに迷う丈晴に決心を促したのは、竹中のアドバイスと、中学生の頃、初めて心をときめかせた女性の存在だった……。全19話(全てフィクションです。)
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文字数 80,834 最終更新日 2024.03.01 登録日 2024.03.01
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