大間を出て、東京へ戻った美月のもとに、山形の花屋・咲良から連絡が届いた。「ミモザが咲きました。来てもらえますか」——あの灯座の夜から半年。父の店を継いだ咲良は、大手花屋の進出で客を失い、静かに追い詰められていた。美月は三日間だけ山形に残る。病院への営業、日曜マルシェの出店、SNSへの投稿。派手な策などない。ただ、言葉にすること、声を出すこと、根っこを見せること。それだけを、咲良と一緒にやっていく。大間で漁師から受け取った言葉が、山形で花屋の娘に手渡される春の話。
文字数 5,190
最終更新日 2026.05.18
登録日 2026.05.18