八雲 海

八雲 海

緻密な構成と圧倒的な没入感で、読者を予期せぬ感情の渦へと誘う作家。ミステリー、SF、現代劇と幅広く手がけ、境界のない自由な発想で「生」の揺らぎを射抜く。次の一手が見えない、予測不能な物語を綴る。
12
大衆娯楽 連載中 短編
踊り子・美月、三十二歳。相棒の辰夫と古いハイエースで、また旅に出た。 今度は東北だ。那須から大間まで、秋の東北を十二の街で縦断する。 廃業寸前の農家の夫婦、震災を生き延びた料理人、鉄の仕事を続ける職人、マグロを追う漁師。行く先々で、誰かに出会って、首を突っ込んで、火をつけて、去っていく。 「怖いだけじゃ、理由が足りない」 東北の人たちはすでに燃えていた。美月が来る前から、ずっと燃えていた。 寡黙な辰夫が、ある夜、ぽつりと言う。「こうして、あんたと旅してる」 夢貯金は今日も足りない。でも、旅は続く。
24h.ポイント 228pt
小説 6,965 位 / 223,065件 大衆娯楽 132 位 / 6,009件
文字数 34,064 最終更新日 2026.05.17 登録日 2026.05.09
大衆娯楽 完結 長編
東京でOLをしていた竹内紬、三十二歳。父が倒れたという知らせを受け、十年ぶりに別府へ帰省する。集中治療室のベッドで、父・正蔵はひとこと言った。「正庵を継いでくれ」 蕎麦を打ったことなど一度もない。レシピもノートも何も残っていない——父はすべてを頭の中にしまったまま逝ってしまった。 手がかりを求めた紬が出会ったのは、父の元弟子・耕二。別府駅近くで自分の店を構える、無愛想で口の悪い男だった。三度断られても、紬は通い続けた。約束したから。お父さんの手の温かさが、まだ両手に残っていたから。 渋々引き受けた耕二が言う言葉は「感覚だ」の一点張り。でもその言葉の裏には、考え続けた先にしか生まれない本物の技があった。 毎朝七時、厨房に立つ。水回し、こね、休ませ、伸ばし、切り——蕎麦打ちはすべてがつながっている。どこか一つが狂えば全部が狂う。粉と話しながら、手で今日の答えを探しながら、紬は少しずつ父の蕎麦に近づいていく。 常連のおじちゃんたち、親友ひかり、そして不器用な師匠・耕二。別府の温泉の湯気の中で、正庵はつむぎ庵へと生まれ変わる。 蕎麦は正直だ。打った人間の気持ちが、全部出る。
24h.ポイント 613pt
小説 2,570 位 / 223,065件 大衆娯楽 37 位 / 6,009件
文字数 36,701 最終更新日 2026.05.17 登録日 2026.05.08
歴史・時代 連載中 長編
第一部「霧の港」 1866年、長崎。坂本龍馬は波止場で、消えた英国商船の積荷目録に赤い印を見つける。港湾図、各藩の財政情報、石炭の補給地点——表向きは商いの記録だが、何かが引っかかった。 石炭商の娘、汐は言った。「英国人は、銃より先に港を見ます」 龍馬は笑って流した。 やがて近郊の港が死に始める。保険の査定が変わり、修繕が止まり、借金が積もり、土地が外国商社に渡る。汐の父、徳蔵は燃える倉庫を前に座り込んだまま、動かなかった。 東インド会社の男、アレクサンダー・グレイは言った。「支配ではない。効率化です」 龍馬は反論できなかった。だが体だけは理解していた。 「……戦をしとるんじゃない」「刀も銃も要らん。帳簿と保険と、航路図があれば、国が取れる」 幕末劇が、経済・情報戦へと変貌する。
24h.ポイント 285pt
小説 5,604 位 / 223,065件 歴史・時代 35 位 / 3,027件
文字数 6,696 最終更新日 2026.05.17 登録日 2026.05.15
大衆娯楽 完結 短編
刺青を袈裟で隠した元ヤクザの住職が、新宿の古寺で弔い続ける——。 堂島剛道。まだ五十代だというのに、もっと年月を重ねた男の目をしていた。かつて三東会系の組長代行として「鬼の剛」と恐れられた男は、組を抜けた夜に妻と息子を失った。自らの命令で罪のない一般人を死なせた過去も抱えたまま、流魂寺の住職として生きている。 遺骨を抱えた老婆、憎い男の葬式を頼む女、自殺しようとする女、残された子供、薬中毒の男、刺されたヤクザ——迷い込んでくる人々の話を、男はただ黙って聞く。 怒鳴らない。説教しない。ただそこにいて、手を合わせる。 それだけで、人は少し、生きられる気がした。
24h.ポイント 0pt
小説 223,065 位 / 223,065件 大衆娯楽 6,009 位 / 6,009件
文字数 21,647 最終更新日 2026.05.08 登録日 2026.04.20
大衆娯楽 完結 短編
旅から東京に戻った美月は、いつものようにロゼのステージに立つ。 その夜、オーナーの橘文江から呼び出しがあった。旅先で美月のステージに憧れた娘が、ストリッパーになりたいと面接に来たという。まだ二十歳、山形から出てきたばかりの花屋の娘——桃井咲良。 美月は咲良を、歌舞伎町の裏路地にある古い喫茶店「灯座」に連れていく。そこで美月は、自分の言葉で咲良を諭す。今の時代にする仕事じゃない。まだどこへでも行ける娘を、わざわざ陽の当たらない道に引き込んではいけない。 でもその言葉を口にするたびに、美月の足元が少しだけ揺れた。 夢貯金は今夜も減っていく。それでも美月は、諦めてない目をしていた。 そして灯座には、もう一人の客が暖簾をくぐってくる——新宿の裏路地に佇む古寺・流魂寺の住職、堂島剛道。辰夫の兄貴分にして、美月が唯一、素でいられる男。 「減った分は、誰かに移っただけだ」 三人で飲む深夜のコーヒーが、美月にまた走る力をくれた。
24h.ポイント 0pt
小説 223,065 位 / 223,065件 大衆娯楽 6,009 位 / 6,009件
文字数 6,456 最終更新日 2026.04.22 登録日 2026.04.22
SF 完結 短編
「日本が全力で地球を守ります」 国連会議で日本代表が宣言した。しかし実態は補助金目当ての嘘。国家プロジェクトチームは予算を会食とゴルフと視察旅行で使い果たし、本番では隕石を見事に外した。 残る希望は、住宅街の片隅にあるボロい研究所。白衣の変人・聖徳博士と、普通すぎる助手・鈴木くん。そして計算ミスだらけのAI「コスモ」。隣の幼稚園の園児には毎日バカにされ、酔っぱらいには「終わったわこの地球」と言われ続ける二人が、地球を救えるのか。 笑えて、最後だけ本気で泣ける。誰も期待しない二人と一台の、ちょっとバカバカしい地球救済計画。
24h.ポイント 0pt
小説 223,065 位 / 223,065件 SF 6,464 位 / 6,464件
文字数 17,128 最終更新日 2026.04.21 登録日 2026.04.15
ライト文芸 完結 ショートショート
あらすじ スーツのネクタイを、誰も見ていなくてもやり直す会社員。老人の手を素手で握る、夜勤三日目の看護師。深夜のコンビニで、小銭が足りない男に黙っておにぎりを渡す店長。深夜の国道を走るトラック運転手に、娘から電話が入る。 誰も見ていない。褒められもしない。記録にも残らない。それでも、手を抜かない人たちがいる。 会社員、看護師、コンビニ店長、トラック運転手、シングルマザー、教師、警備員、職人、自衛官、介護士、郵便配達員――十二人の、誰にも語られなかった一瞬を描く連作短篇集。 名もなき場所で、今日も誰かが刃を研いでいる。
24h.ポイント 0pt
小説 223,065 位 / 223,065件 ライト文芸 9,438 位 / 9,438件
文字数 10,247 最終更新日 2026.04.20 登録日 2026.04.12
ミステリー 完結 短編
あらすじ 「計算が合わないものは、合わない」 東都中央銀行の融資審査部に勤める新人・神谷澪は、1円の不整合を見つけた。たかが1円。されど1円。その先に潜んでいたのは、30億円の組織的不正と、それを握りつぶしてきた男・久保田の影だった。 正しいことをすれば損をする。黙っていれば守られる。 それでも澪は、電卓を手放さなかった。 銀行から追われ、たどり着いた先は霞が関の地下室——謎の機関JAFIC。そこで彼女は、想像を絶する数字に出会う。 3,200億円。17回。存在しないはずの暗号資産への送金。 30億を追ってきた女が、世界を揺るがす数字の入口に立つ——金融サスペンス、序章。
24h.ポイント 0pt
小説 223,065 位 / 223,065件 ミステリー 5,219 位 / 5,219件
文字数 11,240 最終更新日 2026.04.19 登録日 2026.04.10
大衆娯楽 完結 短編
あらすじ ストリッパーの美月、三十二歳。古いハイエースと無口な相棒・辰夫と共に、日本中の小屋を渡り歩く旅の中で、行く先々で人情のもつれに首を突っ込んでしまう。 鞆の浦の若女将、呉の不器用な父親、倉敷の刺繍職人、中洲のインフルエンサー、熊本の居酒屋女将、鹿児島の焼酎蔵の娘、阿波の遍路女、四万十川の老医師、宮島の若い父親、神戸の元トランペット奏者、大阪のストリップ小屋オーナー、そして京都の老女将——。 「あたしゃ、ちょいと火をつけただけだよ」 立ち去る美月の背中に、街の灯りが揺れる。夢貯金は今日も少し減ったけれど、まだ諦めてない目をしている。
24h.ポイント 0pt
小説 223,065 位 / 223,065件 大衆娯楽 6,009 位 / 6,009件
文字数 34,946 最終更新日 2026.04.19 登録日 2026.04.11
ミステリー 完結 ショートショート
あらすじ 男は完璧な犯罪を犯したはずだった。 証拠はない。目撃者もいない。 法廷に立つのは、無実の被告人。 なのになぜ、あの男は怯えないのか。 傍聴席から見つめてくる瞳には、 憎しみも怒りもない。 ただ――観察している。 人はどこで壊れるのか。 その答えを、静かに待っている
24h.ポイント 0pt
小説 223,065 位 / 223,065件 ミステリー 5,219 位 / 5,219件
文字数 920 最終更新日 2026.04.13 登録日 2026.04.13
ミステリー 完結 短編
あらすじ 銀行が消えて半年。 世界は「ARK」に慣れ、便利になった。 でも——すべての人が、恩恵を受けているわけではなかった。 ARKの管理者となった神谷澪は、システムがもたらす光と影の間で、孤独な決断を迫られていた。 そこへ届いた警告。 「一兆円が消えた」 追っていくと見えてきたのは、旧体制の権力者たちが仕掛けた罠、信じていた相棒の隠された過去、そして死んだはずの藤堂悠真からのメッセージ——。 誰がARKを支配するのか。 それとも——誰にも支配させないのか。 管理者の椅子に座った新人アナリストが、もう一度世界と戦う金融サスペンス。 前作を読んでいなくても楽しめます。
24h.ポイント 0pt
小説 223,065 位 / 223,065件 ミステリー 5,219 位 / 5,219件
文字数 19,110 最終更新日 2026.04.09 登録日 2026.04.04
ミステリー 完結 短編
あらすじ 深夜2時。金融犯罪を追う機関JAFICの新人・神谷澪は、存在しないはずの暗号資産への巨額送金を発見する。 1兆円。2兆円。止まらない数字。 追っていくと見えてきたのは——10年前に「死んだ」とされた天才エンジニア、世界の闇資金を動かすパイプライン、そして「銀行を終わらせる」という革命の計画だった。 銀行とは何か。お金とは何か。誰が世界を動かしているのか。 正しいことをしても何も変わらない——そう知っていた新人アナリストが、それでも追い続ける金融サスペンス。 暗号資産や金融の知識はゼロでも読めます。
24h.ポイント 0pt
小説 223,065 位 / 223,065件 ミステリー 5,219 位 / 5,219件
文字数 15,859 最終更新日 2026.03.29 登録日 2026.03.23
12