恋愛 じれったい恋愛 小説一覧
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「安心して。あなたの魂は、すぐには奪わないわ」
嵐の翌朝、黒砂の浜に倒れていた少女はそう言って——
漁師の青年・カイルの家に居座った。
名前はリリス。魔族の第三王女。
魂を糧とし、感情を持てば力を失う種族。
「魔力が戻ったら、あなたの魂をもらうわ」
「楽しみにしてる」
怖がらない。逃げない。
どんな挑発にも、静かに的確に返してくる。
魔族の姫が初めて出会った——攻略できない人間。
温かい食事に戸惑い、
名前を呼ばれるたびに心臓がうるさくなって、
気づけば奪えなくなっていた。
でも彼女は知らなかった。
魂を奪えるのは、愛していない相手だけだということを。
そして目の前の青年がかつて、
魔族に家族を奪われていたということを。
黒衣が白に染まるとき、
彼女が選ぶのは魂を奪うことか。
それとも——
文字数 15,198
最終更新日 2026.03.21
登録日 2026.03.19
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毎朝六時。
黒の下着姿で、赤いヨガマットの上に脚を開く。
それが橘麗奈、二十八歳の朝の儀式。
ストレッチが終わったら、絨毯をめくる。
床下収納を開けて、封筒の束を確認する。
まだある。今日も、負けていない。
儚く見える目と、計算された貧しさで男の「守りたい」を引き出し、感情を売らずに金だけを回収してきた。
愛は演技。体は商売道具。金は成果。
ブリーチで傷んだ金髪も、柔らかく整えた体も、全部武器だ。
完璧だったはずの計算が、同じマンションに住む地味な男——青木奏の登場で、狂い始める。
奢らない。
触れない。
欲しがらない。
それでも、去らない。
武器が全部外れる相手に、麗奈は初めて「演じない自分」を見られてしまう。
赤いマットの上で、もう脚を開けなくなる朝が来るまでの話。
文字数 18,902
最終更新日 2026.03.21
登録日 2026.03.15
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