叩き上げ 小説一覧

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黄塵の匙〜追放された料理人令嬢と、最前線の鉄血司令官〜

王宮大厨房で働くグレタは、華やかな飾り付けや高級食材至上主義に背を向け、「生きるための命の味」を追求してきた下町育ちの叩き上げ料理番。 しかし「平民上がりで雑巾臭い」「生クリームも使えない田舎料理」と若き料理長になじられ、厨房を追放されてしまう。送り先は、補給を打ち切られ、飢えと砂嵐に晒されて死を待つばかりの国境の吹き溜まり「黄塵(こうじん)砦」だった。 出迎えたのは、頬のこけた隻眼の巨漢隊長ヴォルフ。 「食わせる飯など一粒もない、失せろ」と威嚇する男に対し、グレタは怯えるどころか「腹が減ってるからそんな腐った面になるんだよ」と一喝。埃まみれの厨房に踏み込み、虫食い大麦を粗挽きにし、塩を噴いた干し肉の端切れと野生のアザミの根を炒め煮にした濃厚な香草肉粥を叩きつけるように振る舞う。 一口すすった瞬間、飢えきっていた男たちの全身に走る電撃。 「うめえ……身体が熱くなってきやがった……!」 胃袋を力づくで叩き起こされた男たちは号泣し、グレタの「飯を食ったら井戸を浚いな!」の怒声の下で猛烈に動き出す。 グレタは野良猪豚の解体、モツ煮込み、ラードと薬草を用いた外傷の手当てで砦を急速に立て直し、特製の燻製生ハムによって荒野を一大交易拠点へと再生させていく。 長年一人で部下の命を背負い込み心をすり減らしていた鬼隊長ヴォルフは、己の古傷と孤独を容赦のない手当てで解きほぐす彼女に胃袋ごと屈服し、「一生、俺の飯を作ってくれ」と狂おしいほどの独占欲を募らせていき――。 やがて大飢饉に襲われた王都が泣きついてくるが、包丁一本で立つ女将と歴戦の守護者の、痛快無比なる「胃袋の講和条約」が炸裂する!
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