深川小説一覧
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東日本橋の会社に勤める賢一は、時を問わずに現れ、解像度を増していくビジョンに戸惑う。職場近くの弁当屋で知り合った近所の保育士、美砂と、今はない掘割をめぐる散策を重ねるうちに、ビジョンがかつて運河のほとりで暮らしていた少女の姿だとわかっていく。
偶然によって集まり、また散っていく人たち。美砂とその同僚、高校の同級生、職場の先輩と関わるうちに、賢一は自身の来し方を振り返る。その中で、賢一は自分と美砂に託された、小さな役割を知っていく。
文字数 63,277
最終更新日 2024.04.29
登録日 2024.04.29
十代家治公最晩年の江戸。深川の外れ猿江町は、近くを流れる小名木川にまで迫り出した、大名屋敷の五本の松の木から五本松町とも呼ばれていた。この町に十八歳の娘が独りで切り盛りをする、味噌田楽を売り物にした縄のれんが有った。その名は「でん留」。そこには毎日様々な悩みを抱えた常連達が安い酒で一日の憂さを晴らしにやってくる。持ち前の正義感の為に先祖代々の禄を失ったばかりの上州牢人、三村市兵衛はある夜、慣れない日雇い仕事の帰りにでん留に寄る。挫折した若い牢人が、逆境にも負けず明るく日々を生きるお春を始めとした街の人々との触れ合いを通して、少しづつ己の心を取り戻していく様を描く。しかし、十一代家斉公の治世が始まったあくる年の世相は決して明るくなく、日本は空前の大飢饉に見舞われ江戸中に打ちこわしが発生する騒然とした世相に突入してゆく。お春や市兵衛、でん留の客達、そして公儀御先手弓頭、長谷川平蔵らも、否応なしにその大嵐に巻き込まれていくのであった。
(完結はしておりますが、少々、気になった点などは修正を続けさせていただいております:5月9日追記)
文字数 61,820
最終更新日 2019.04.30
登録日 2019.04.30
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