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【あらすじ】
文政三年。歌舞伎役者、三代目・坂東三津五郎(ばんどうみつごろう)は悩んでいた。演目「玉兎(たまうさぎ)」にて、兎、爺、婆、狸の四役の演じ分けをしなければならないからだ。二代目・坂東三津五郎に相談すると「――黒き鏡だ」という答えが返って来た。
思い余って「根岸のご隠居」こと絵師・酒井抱一(さかいほういつ)のいる根岸・雨華庵(うかあん)へと赴く。
幕府名門・酒井家出身の抱一との洒脱で含蓄のある会話から、三津五郎は「黒き鏡」の意味に思い当たり、「玉兎」の舞台へ向かう。
酒井抱一が観るその舞台にて、三代目・坂東三津五郎は「玉兎」を演じられるのか――。
【登場人物】
三代目・坂東三津五郎:歌舞伎役者。父の初代・坂東三津五郎の死の際に幼かったため、父の弟子が二代目・坂東三津五郎となるが、成長して三代目を襲名。その演技は、江戸随一と評判が高い。日本舞踊五大流派のひとつ「坂東流」の祖でもある。
酒井抱一:絵師。江戸幕府の名門・酒井家の出身。しかし世継ぎとなることはできず、出家して隠居する。出家前から芸術に志し、特に絵画に熱中し、出家後は江戸郊外・根岸に雨華庵という庵を結び、巨匠・尾形光琳の遺された作品から大いに学ぶ。のち、江戸琳派という、光琳の流れをくむ絵の流派の祖となる。
※文中の歌は、二代目・桜田治助の作詞によるものです。
【表紙画像】
初代歌川豐國 / Toyokuni Utagawa I, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
文字数 4,579
最終更新日 2023.05.31
登録日 2023.05.29
※マルチ投稿。文字数:10,680 18分
●水野忠邦と土井利位の不思議な関係。
弘化元年(1844年)
冬の寒さで冷え込む江戸城。
病に倒れた水野忠邦は、とある男と自分の人生を比較する。
自分とはなにもかも正反対の男、土井利位。
雪華を愛するこの男は、天が雪を降らす限り、決して絶望することはない。
参考引用文献
天保の雪
著:市原麻里子
天保図録
著:松本清張
人物叢書 水野忠邦
著:北島正元
水野忠邦
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E9%87%8E%E5%BF%A0%E9%82%A6
土井利位
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E4%BA%95%E5%88%A9%E4%BD%8D
登録日 2024.05.27