33 / 147
やっと6歳
閑話 残滓(小)のぼやき
しおりを挟む
主の主様、カーラ様はとても変わった方っす。
まず、その「命」の色がどこか変わっているっす。御歳のわりに存在が大きいし、何かが混ざっているような・・・いろんな「命」や「色彩」を観察しているっすけど、他に見たことがないっす。
ボクは観察するが好きで、自分の存在を認識した時からずっと続けているっすから、そこは自信があるっす。
そしてたぶん・・・優しい方かたっす。
怒った顔は見たことないっす。せいぜい呆れた顔か、諦めた顔か、眉間にしわを寄せているか・・・全部、主のせいっすね。
貴族の方なのに主が気安く接しても、怒らないっす。
ほんとに何とも思っていないみたいで、悪い感情が読めないっす。村の大人が子供たちに接するときのような、なんか達観した感じっすよ。
主より年下とは思えないっす。
オニキス様とくつろいでいるときは、とても穏やかに微笑まれているっす。オニキス様が睨むので、盗み見ただけっすけど。
あと、ときどき怖い顔で笑うっす。
この前も、主と妹様が嫌味な侍女につかまって小言を言われていた時だったっす。主たちが気が付かない距離で、その侍女から見えるように笑いかけたっす。
小言がすぐに終わったっす。
主が花瓶を割ったと疑われて、濡れ衣なのに侍従頭に怒られていた時も、笑いながら近づいてきて、破片をオニキス様に回収させたっす。
たぶん侍従頭には消えたように見えたんっすね。走って逃げて行ったっす。
ちなみにその破片は、部屋で主と一緒に魔法で修理したっすよ。魔法の練習になるって。
うまく直せたのを確認して、なに食わぬ顔で元の位置に戻していたっす。
カーラ様はわざと、回りの人間を怖がらせているみたいっす。理由はよくわからないっすよ。
あ、あと、ものすごく機嫌のいい時に、ぎゅってしてくるのをやめて欲しいっす。
その後のオニキス様が怖すぎるっすよ。
そう。カーラ様はあの、ボクと同じ黒とは思えない、オニキス様を従えているのにも関わらず、まったく気負うところがないっすよ。
主の主の黒様・・・「色彩」の世界でも、一度だけ、見たことがあったっす。
世界の底に揺蕩、「深淵の黒」。その底知れなさに、思わず身震いしたのを覚えているっす。
ボクは寂しがりっすから、頑張って「色彩」たちに付き合って居たっすけど、オニキス様で肝試しをしている連中を見たときは、意識が遠のいたっすよ。
今はオニキス様が、あの圧倒的な存在感をどうやってか小さくしてるみたいっすから、近づいても平気っす。でも近くにカーラ様がいない時は、怖い時もあるっす。
そのオニキス様に、主が喧嘩を売るっすから、信じられないっす!
主は生まれた村で戦い方と、貴族に仕えるために必要なことを教えられたっすけど、どちらかというと戦う方が好きみたいっす。
やっぱりオニキス様の方が段違いに強いっすけど、相手をしてもらえるのが楽しいみたいっす。どこが楽しいのか、ボクにはわからないっすけど、オニキス様もときどき楽しそうな時があるっす。
主とオニキス様は、仲がいいのか、悪いのか、わからないっす。
主は村の長老に、一人の主に仕えるのは向かないと言われていたっす。頭を挿げ替えられる軍の方が向いているって。
その時は意味がよくわからなかったっすけど、今はなんとなくわかるっす。
主はよくも悪くも、一直線過ぎるからっす。
だからカーラ様も、たまに主の盲信を心配していたっす。
でも最近は様子が変わってきたっすよ。
以前は仕える対象として、妹様を助けてくれた恩人として、同じ黒を持つものとしてといった、ちょっと堅苦しい感じだったっすけど・・・。
少しずつ好意が混じるようになったっす。
それと共に、カーラ様が望むなら汚いことでもなんでもやるっていう勢いは減ったっす。
それはいいっすけど・・・もしも、もしもっすけど。オニキス様がいる限り、ありえないっすけど!
カーラ様がいなくなったら、たぶん主は壊れるっす。
主なりに葛藤があるみたいっすけど、その姿を目にするたびに、触れるたびに、好意が重くなっていくっす。
想いに感づかれると、カーラ様に避けられるっすから、なるべく隠しているみたいっすけど、ボクにはわかってしまうっす。
心配っすけど、どうしようもないっす。
応援もできないっす。
オニキス様には勝てないっすよ。
終わりある契約を選ぶなんてと、妹様の精霊に馬鹿にされたっすけど、そんなことはないっす。
ボクは今が一番、楽しいっす。
だから主も、カーラ様も守れるように、ボクは頑張るっす。
まず、その「命」の色がどこか変わっているっす。御歳のわりに存在が大きいし、何かが混ざっているような・・・いろんな「命」や「色彩」を観察しているっすけど、他に見たことがないっす。
ボクは観察するが好きで、自分の存在を認識した時からずっと続けているっすから、そこは自信があるっす。
そしてたぶん・・・優しい方かたっす。
怒った顔は見たことないっす。せいぜい呆れた顔か、諦めた顔か、眉間にしわを寄せているか・・・全部、主のせいっすね。
貴族の方なのに主が気安く接しても、怒らないっす。
ほんとに何とも思っていないみたいで、悪い感情が読めないっす。村の大人が子供たちに接するときのような、なんか達観した感じっすよ。
主より年下とは思えないっす。
オニキス様とくつろいでいるときは、とても穏やかに微笑まれているっす。オニキス様が睨むので、盗み見ただけっすけど。
あと、ときどき怖い顔で笑うっす。
この前も、主と妹様が嫌味な侍女につかまって小言を言われていた時だったっす。主たちが気が付かない距離で、その侍女から見えるように笑いかけたっす。
小言がすぐに終わったっす。
主が花瓶を割ったと疑われて、濡れ衣なのに侍従頭に怒られていた時も、笑いながら近づいてきて、破片をオニキス様に回収させたっす。
たぶん侍従頭には消えたように見えたんっすね。走って逃げて行ったっす。
ちなみにその破片は、部屋で主と一緒に魔法で修理したっすよ。魔法の練習になるって。
うまく直せたのを確認して、なに食わぬ顔で元の位置に戻していたっす。
カーラ様はわざと、回りの人間を怖がらせているみたいっす。理由はよくわからないっすよ。
あ、あと、ものすごく機嫌のいい時に、ぎゅってしてくるのをやめて欲しいっす。
その後のオニキス様が怖すぎるっすよ。
そう。カーラ様はあの、ボクと同じ黒とは思えない、オニキス様を従えているのにも関わらず、まったく気負うところがないっすよ。
主の主の黒様・・・「色彩」の世界でも、一度だけ、見たことがあったっす。
世界の底に揺蕩、「深淵の黒」。その底知れなさに、思わず身震いしたのを覚えているっす。
ボクは寂しがりっすから、頑張って「色彩」たちに付き合って居たっすけど、オニキス様で肝試しをしている連中を見たときは、意識が遠のいたっすよ。
今はオニキス様が、あの圧倒的な存在感をどうやってか小さくしてるみたいっすから、近づいても平気っす。でも近くにカーラ様がいない時は、怖い時もあるっす。
そのオニキス様に、主が喧嘩を売るっすから、信じられないっす!
主は生まれた村で戦い方と、貴族に仕えるために必要なことを教えられたっすけど、どちらかというと戦う方が好きみたいっす。
やっぱりオニキス様の方が段違いに強いっすけど、相手をしてもらえるのが楽しいみたいっす。どこが楽しいのか、ボクにはわからないっすけど、オニキス様もときどき楽しそうな時があるっす。
主とオニキス様は、仲がいいのか、悪いのか、わからないっす。
主は村の長老に、一人の主に仕えるのは向かないと言われていたっす。頭を挿げ替えられる軍の方が向いているって。
その時は意味がよくわからなかったっすけど、今はなんとなくわかるっす。
主はよくも悪くも、一直線過ぎるからっす。
だからカーラ様も、たまに主の盲信を心配していたっす。
でも最近は様子が変わってきたっすよ。
以前は仕える対象として、妹様を助けてくれた恩人として、同じ黒を持つものとしてといった、ちょっと堅苦しい感じだったっすけど・・・。
少しずつ好意が混じるようになったっす。
それと共に、カーラ様が望むなら汚いことでもなんでもやるっていう勢いは減ったっす。
それはいいっすけど・・・もしも、もしもっすけど。オニキス様がいる限り、ありえないっすけど!
カーラ様がいなくなったら、たぶん主は壊れるっす。
主なりに葛藤があるみたいっすけど、その姿を目にするたびに、触れるたびに、好意が重くなっていくっす。
想いに感づかれると、カーラ様に避けられるっすから、なるべく隠しているみたいっすけど、ボクにはわかってしまうっす。
心配っすけど、どうしようもないっす。
応援もできないっす。
オニキス様には勝てないっすよ。
終わりある契約を選ぶなんてと、妹様の精霊に馬鹿にされたっすけど、そんなことはないっす。
ボクは今が一番、楽しいっす。
だから主も、カーラ様も守れるように、ボクは頑張るっす。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
2,774
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる