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誰よりも愛しい貴方は、私から家族を奪った仇だった。
シルグラン帝国の西の森。そこにはエリヌスと呼ばれる特殊な歌声を有する一族が暮らしていた。エリヌスの少女カミーユは森で平穏な日々を送っていたが、シルグラン帝国の兵士が迷い込んで来たことで事態は一変する。
襲いかかって来た兵士から友人を守るために、カミーユは禁忌の歌によって兵士を殺害してしまう。
その一件を知ったシルグラン帝国はエリヌスを危険分子と見做し、滅してしまった。
唯一生き残ったカミーユだったが、奴隷商人に捕まり三年の月日を地下の薄暗い闇市で過ごす。
失意と絶望の淵にいたカミーユを救い出したのは、新たなシルグラン皇帝として即位したばかりのディートハルトだった。命の恩人であるディートハルトを深く慕うカミーユだったが、彼は愛する両親を手にかけた仇だった。
文字数 8,554
最終更新日 2022.06.25
登録日 2022.06.24
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