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国境の城塞町ガーデルで、副領主を務めるロイス。
規則と順序を重んじる彼の判断は、たいてい「業務ですので」の一言で説明がつく。
ある日、東門で荷の順番をめぐる揉め事を裁いた。
そこで出会ったのが、隣の小領ポルネから花と薬草を卸しに来た、領主の娘リゼット。
それから月に一度、彼女はガーデルへやって来るようになる。
荷の日を覚えているのも、市場へ足が向くのも、門の外で彼女の前に立ったのも、ロイスにとってはすべて業務だった。
――人混みの中で、自分の足が止まっていることに気づくまでは。
答えが出たなら、あとは順を追うだけ。
三十歳まで仕事一本で生きてきた男が、花の来る日を待つようになるまでのお話です。
※『門番だと思ったら、領主でした』シリーズの番外編です。本編から約三年後のお話で、単体でもお読みいただけます。
※終盤にRシーンがあります。
※ランドルは、わりと早い段階で気づいていました。
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登場人物
◆ロイス(ガーデル副領主・三十歳)
王都の貴族の家の出。ランドルに任命され、副領主を務めて三年になる。規則と順序を重んじ、自分の行動はたいてい「業務」で説明する。自分の気持ちに気づくのは人より遅いが、気づいたら真正面から手順を踏む。ナスが苦手。ただし、口に出して認めたことはない。
◆リゼット(ポルネ領主の娘・二十五歳)
隣の小領ポルネを治めるトーマの娘。家業の薬草と花の商いを任され、月に一度ガーデルへ卸しに来る。薬草は薬屋へ、花は自分で市場に台を出して売る。物腰はやわらかいが、帳面の字は細かく、商売のことはきちんと分かっている。好物はナス。
◆ランドル(ガーデル領主・三十四歳)
ロイスの元上官で、今の上司。昼行灯と呼ばれているが、見るべきところは見ている。部下の変化には、本人より先に気づいていた。
文字数 19,278
最終更新日 2026.09.28
登録日 2026.09.28
国境の城塞町ガーデルで、領主ランドルを支える側近ロイス。
淡々として無口な彼が、なぜあの昼行灯についていくと決めたのか。
これは、二人がまだ軍にいた頃の話。
貴族の家に生まれ、規則を守ることこそ正しいと信じて育ったロイス。
配属先で上官として現れたのは、軍服を着崩し、日の当たる場所に座っている平民出身の男だった。
家柄は一度も聞かれない。仕事は人に振る。
それなのに、子どもの頃から誰にも気づかれなかった好き嫌いだけは、出会って十日と経たずに見抜かれた。
やがて隣国の兵が国境を越え、砦での防衛戦が始まる。
命令に背いて兵を動かしたその男を、ロイスは「規則を守らない人間」だと判断した。
――提出された報告書を読むまでは。
規則を守って生きてきたロイスが、一人の上官についていくと決めるまでのお話です。
※本編以前の軍人時代を描く番外編です。恋愛描写・Rシーンはなく、エレノアも登場しません。単体でもお読みいただけます。
※『3 俺の奥さん』と併せてお読みいただくと、あちらで少々グダグダしていたランドルの名誉が、少しだけ回復するかもしれません。
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登場人物
◆ロイス(軍人・二十一歳)
貴族の家の次男。規律と礼儀を重んじ、両親から「もう少し楽に生きてもいいのでは」と心配されるほどの生真面目な優等生。朝は少し苦手だが、寝坊するのが嫌なので決まった時刻に起きる。ナスが苦手。ただし、出されたものは残さない。
◆ランドル(軍人・二十四歳)
ロイスの上官。平民の出で、異例の昇進を遂げた男。軍服は着崩し、暇があれば日の当たるところに座っている。仕事はよく人に振るが、任せた結果はすべて把握している。のちの、ガーデルの昼行灯領主。
文字数 5,181
最終更新日 2026.09.14
登録日 2026.09.14
領主ランドルと婚約し、屋敷の帳簿を預かるようになったエレノア。
北の街道が開き、ガーデルの市場には見慣れない品が並びはじめていた。
そんなある日、屋敷を訪ねてきたのは、ランドルを呼び捨てにする女商人ローザ。
「あれ」「ああ、あれね」――二人にしか通じない言葉に、エレノアは自分の入る隙間がないことに気づく。
さらに、北から商隊がやってくる。
その中にいたのは、かつてエレノアの父のもとで働いていたヴァスラフだった。
ヴァスラフと言葉を交わすエレノアを、ランドルは黙って見ていた。
おかしなことは何ひとつない。それなのに、面白くない。
町のことも、人のこともよく見ている男が、婚約者の気持ちだけを見誤る。
やがて王都から書状が届く。国境を預かる領主が、かつて敵国から送り込まれた娘を娶ることについて、王都で確認したいという。
嫉妬して、白状して、それでも互いを選び直した二人が、ようやく式を挙げるまでのお話です。
※本作はシリーズ第3作です。『門番だと思ったら、領主でした 1』『門番だと思ったら、領主でした 2 王都からの使者』から順にお読みいただくと、よりお楽しみいただけます。
※ストーリー・恋愛重視です。Rシーンは中盤に二回あります。
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登場人物
◆ランドル(領主・31歳)
ガーデルの領主。昼寝と散歩が日課の“昼行灯”で、その正体は国境を守り抜いてきた元騎士団長。人を疑うときも必ず自分の目で確かめる男が、今回だけは確かめる前に口に出してしまう。
◆エレノア(商家の娘・24歳)
ランドルの婚約者。市場の商人たちに可愛がられ、屋敷の帳簿も任されるようになった。本人に自覚はないが、ローザいわく「おじさん受けする」らしい。
◆ローザ(女商人・34歳)
ランドルの古い仕事仲間。歯に衣着せず、遠慮もしない。エレノアを一目で気に入り、弟子にすると言って聞かない。
◆ヴァスラフ(商人・35歳)
エレノアの父の商隊にいた男。隊が解散したあとも、姉妹の行方を尋ね続けていた。
文字数 23,602
最終更新日 2026.09.14
登録日 2026.09.14
領主ランドルと結ばれ、国境の城塞町ガーデルで暮らし始めたエレノア。
ある日、ランドルは王都からの呼び出しを受け、十日間だけガーデルを離れることになった。
昼寝をして、町をぶらぶら歩き、誰にでも気さくに声をかける昼行灯領主。
そんな彼しか知らなかったエレノアは、軍服をまとい「団長」と呼ばれる、知らなかったランドルの姿を目にする。
離れて初めて気づく寂しさ。
そして十日後、帰ってきた彼を迎えたとき、エレノアはまたひとつランドルのことを知る。
本編後の二人を描く、甘く穏やかな番外編。
※本編『門番だと思ったら、領主でした』の後日談です。
※ストーリー・恋愛重視です。Rシーンは終盤にあります。
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登場人物
◆ランドル(領主・30歳)
ガーデルの領主。普段は昼寝をして町をぶらぶら歩く“昼行灯”だが、王都では軍服をまとった元騎士団長。誰も本心を読めない切れ者だが、婚約者のこととなると少し様子がおかしくなる。
◆エレノア(商家の娘・23歳)
ランドルの婚約者。今ではすっかりガーデルの一員となり、市場の商人たちからも頼られる存在に。留守番の十日間、指折り数えて彼の帰りを待つ自分に、少し驚いている。
文字数 9,093
最終更新日 2026.08.25
登録日 2026.08.25
国境の城塞町へ、行商人として潜入したエレノア。
人質にされた妹を救うため、領主の屋敷から軍事機密を盗み出さなければならなかった。
標的は、“昼行灯領主”と噂されるランドル。
そこで出会ったのは、行商の荷車を押してくれる、昼寝でもしていそうなのんびりした門番――そう思っていた男。
彼の正体は、この町を何度も守り抜いてきた領主ランドルだった。
正体を隠して近づく彼女と、彼女の嘘に気づきながら見守る彼。
嘘から始まる、国境の城塞町を舞台にした恋物語です。
※ストーリー・恋愛重視です。Rシーンは終盤にあります。
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登場人物紹介
◆ランドル(領主・30歳)
この町の領主。ぼさぼさ髪に着崩した服、昼寝と散歩が日課の“昼行灯”。子どもと遊び、荷車を押し、りんごを勝手に味見する。――が、その正体は、国境を何度も守り抜いてきた切れ者。のんびりしているようで、町のことも、人のことも、よく見ている。
◆エレノア(商家の娘・23歳)
妹を人質に取られ、敵国から送り込まれた素人スパイ。商隊育ちの経験を生かして行商人として町に溶け込むが、人を騙すことにも傷つけることにも向いていない。標的だったはずの領主や町の人々の優しさに触れ、少しずつ心が揺らいでいく。
文字数 18,755
最終更新日 2026.08.17
登録日 2026.08.17
世界を救った英雄も、誰かを支えた助手も、いつか役目を終える。
元英雄ダルガンは、故郷アルナスで「街のお父さん」と慕われる何でも屋。
帰る場所を持たない研究助手エルナは、遺跡調査で彼と出会う。
手紙を交わし、ときには飛空艇で会いに行く。
そうして少しずつ距離が縮まった頃、エルナは幸せになることが怖くなり、
何も言わずに街を出てしまう。
それでもダルガンは、たった一人の彼女を迎えに行き、ようやく二人で同じ家へ帰り、最初の夜を過ごす。
役目を終えた二人が、帰る場所を見つける物語です。
【第二章 新しい日々】
恋人になった二人の、その後の物語。
新しい仕事。拾った白い仔猫。並んで立つ台所と、はじめての喧嘩。
穏やかな毎日を重ねながら、エルナは「逃げない」ことを覚えていく。
※本編はストーリー・恋愛を中心に進みます。
※Rシーンを含むエピソードには、タイトルに「※」を付けています。
※2026/9/11 本文の字下げ・段落を修正しました。
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登場人物
◆ダルガン(36歳)
元英雄。現在は街の何でも屋として暮らす「街のお父さん」。不器用だが世話焼き。
◆エルナ(26歳)
古代文明研究者ルドルフの助手。美しい容姿を持ちながら、自分を大切にすることが苦手な女性。
文字数 50,198
最終更新日 2026.08.10
登録日 2026.07.24
――加護は宿りません。けれど、想いは残せます。
三十二歳のガーネットは、剣や武具に模様を彫る装飾職人。
麦の穂、帰り星、傷を抱く蔦。
彫るのは魔法でも加護でもなく、持ち主が形に残しておきたい想いだけだ。
腕には自信がある。
三十二という年齢と、やわらかくなってきた自分の体のほうには、まるでない。
ある日、その工房へ、三つ年下の騎士団副官ダグラスが訪ねてきた。
隊の剣に何を刻むか尋ねると、彼は答えた。
「帰ってくる隊がいいです」
部下を一人も失いたくない。願いは、それだけ。
その日から、ダグラスは「進捗確認」を理由に工房へ通いはじめる。
「……この前も確認しませんでした?」
「しました」
「では、今日は?」
「……進捗確認です」
他人の想いなら、いくらでも形にできる。
自分に向けられた想いだけが、どう扱えばいいのかわからない。
ずっと他人のために彫ってきた職人が、自分のための一本を彫るまでの話。
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◆ガーネット(32)
武具装飾職人。仕事の腕には自信あり、自分自身には自信なし。仕事終わりの一杯が好き。
◆ダグラス(29)
騎士団副官。「全員、無事に帰す」が信条。最近なぜか進捗確認が多い。
文字数 15,062
最終更新日 2026.08.02
登録日 2026.08.02
図面を一枚見ただけで、「その設計では十年で崩れます」と言い切る女性がいる。
旅する設計士、リディア。三十二歳。
水路と街づくりが専門で、相手が王でも宰相でも、仕事となれば遠慮はしない。
今回の依頼先は、砂漠の国。
そこで出会ったのは、国の実務を背負う宰相ラーシムだった。
真面目で働き者。甘い言葉など、まず出てこない男である。
二人は水路を引き、街をつくりながら、互いの仕事を知っていく。
分からないことを、分かったふりをしない。
間違っていれば、立場に関係なく認める。
そうして積み重なった尊敬は、いつの間にか仕事だけでは収まらなくなっていた。
けれど、リディアは旅する設計士。
この国での仕事が終われば、次の街へ発ってしまう。
そんな彼女を、ラーシムは引き止めなかった。
その代わり――帰ってきても困らないように、工房も、通行証も、旅の支度も、先に全部整えてしまう。
尊敬から始まる、砂漠の国のお仕事恋愛です。
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登場人物
◆リディア(32)
旅する設計士。水路と街づくりを専門に、各地を渡り歩いている。
体力はまるでないが、図面を読む目は確か。
身分や肩書きで態度を変えず、王も宰相も仕事相手として見る。
良い仕事をした人は、きちんと評価する。
そして仕事の話になると、相手が誰であろうと容赦がない。
◆ラーシム(28)
砂漠の国の宰相。
王である兄を支えながら、財政や治水など、国の実務を背負っている。
真面目で働き者。そして、何でも自分で抱え込みがち。
甘い言葉は苦手なのに、気づけば工房や通行証まで用意している。
燃えるような赤い髪を三つ編みにした、戦士のような体躯。
◆ザミルーン(32)
ラーシムの兄で、砂漠の国の王。
女好きで豪快。書類を見ると眠くなる。
財政や治水は弟に任せっぱなしだが、人をまとめたり、交渉の場を作ったりすることには滅法強い。
弟の恋には、本人よりずっと早く気づいている。
※Rシーンは後編です
文字数 12,014
最終更新日 2026.07.20
登録日 2026.07.20
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