しかし、現代社会で重要なのはそれだけではありません。より重要になっているのが、二つ目の「脳の体力」です。これは集中力や思考の持続力、意思決定能力、感情のコントロールなど、いわば精神的スタミナです。長時間考え続ける力、判断を繰り返す力、ストレスに耐える力、創造的に思考し続ける力。これらはすべて脳の体力に含まれます。
例えば私たちは毎日、驚くほど多くの意思決定をしています。何を着るか、何を食べるか、どの順番で仕事をするか、誰にどう対応するか。小さな選択でも、脳はエネルギーを消費します。そのため、無駄な意思決定を減らす工夫をしている人もいます。スティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着るというのは有名な話です。服を選ぶという小さな判断すら減らし、より重要なことにエネルギーを使うためです。
現代の仕事は身体よりも脳を使うことが多く、情報量も膨大です。マルチタスク、対人関係のストレス、感情の抑制、創造的思考の持続。これらはすべて脳のエネルギーを消費します。脳は体重のわずか2%しかありませんが、全エネルギーの約20%を消費すると言われています。それだけ負荷の大きい器官なのです。さらに厄介なのは、何もしていない時でも脳は活動し続けることです。ぼんやりしている時、過去を思い出している時、未来を心配している時。こうした状態では「デフォルトモードネットワーク」と呼ばれる脳の活動が働いています。失敗を思い出して落ち込む。将来を不安に感じる。同じ考えが頭の中を何度も巡る。こうした思考のループも脳の疲労を生みます。
そして三つ目が、私が最も重要だと考えている「回復体力」です。これは疲れにくさと回復の速さです。どれだけ体力があっても、使えば必ず減ります。重要なのは、減った体力をどれだけ早く回復できるか、そもそもどれだけ減らさずに済むかです。私は体力を「能力」ではなく「資源」だと考えています。限られたエネルギーをどう使い、どう回復させるか。ここが体力管理の本質だと思います。
そのために最も大切なのが睡眠です。私は最低でも6時間の睡眠を確保することを自分のルールにしています。これを下回ると、翌日の集中力や判断力が明らかに落ちると実感しているからです。さらに睡眠の質も重要です。寝る直前に食べない、体を過剰に刺激しない、リラックスしてから眠る。こうした習慣が回復力を支えます。
「肉体的体力」がなくても、 どれだけ疲れにくいか、 どれだけ早く回復できるか、 どれだけエネルギーを無駄遣いしないか、これらによって「肉体的体力」の少なさはカバーできます。つまり体力とは、筋肉の強さだけではなく、脳の持久力と回復力を含めた「総合的なエネルギー管理能力」だと言えるでしょう。
私は「脳の体力」を節約するために仕事用のジャケットは、黒、紺、グレーの色違いで計15枚購入して着回しています。ズボンは黒のズボンで統一。中のシャツも白のロングTシャツを着ています。ほぼ服選びで朝の時間が取られることはありません。選択を減らすことで、「脳の体力」を温存しています。さらに、1日の脳疲労をリセットするために、マインドフルネスを取り入れています。1日5分、呼吸に意識を向けるだけでも、脳の負荷は大きく下がります。脳を一度空っぽにする時間を作ることで、精神的な体力を回復させることができます。
毎日、最低6時間睡眠を心がける生活は、もっと仕事をしたい、睡眠時間を削ってでもやり切りたいという人にはまどろっこしく感じるかもしれません。しかし、睡眠時間を削った場合、次のような悪循環に陥ってしまう危険性があります。睡眠時間を削る→体調を崩す→回復せず風邪をひく→頭が回らなくなる・集中力が落ちる→パフォーマンスが下がる→睡眠時間を削らなければ仕事が終わらなくなる……。結果として、逆効果になるのです。
もし、「人より疲れやすい、体力がない」「昔より体力が落ちた」という人は、「今日の自分」を無理やり動かすのではなく、総合的なエネルギー管理に意識を向けてみてください。そうすることで、長期的に高いパフォーマンスを維持することができるようになります。難しく感じるかもしれませんが、これは“仕組み”をつくることで、無理なく実現できます。無駄な意思決定を減らし、しっかりと休む習慣を持つことで、消耗を抑えながら安定した成果を出すことが可能になるのです。重要なのは一時的な頑張りではなく、続けられる仕組みを持つことです。最後に私、秋山がやっている仕組みの一部を載せておきます。よかったら真似してみてください。
【秋山がやっている「体力」節約&回復の7習慣】
1 毎朝の服選びは「制服化」する
2 睡眠は1日6時間以上(人によるので、自分にあった睡眠時間を知る)
3 1日の最後に5分間のマインドルフネス
4 毎日、水2L・野菜・プロテイン・ナッツこぶし一握を摂取する
5 昼食はしっかり取り、夕食は控えめにする
6 毎日体重測定&軽い筋トレをする
7 朝、体が疲れていると感じるときは栄養ドリンクを飲む