結局、低姿勢こそが最強のビジネススキルである

「腰が低いと舐められる」は大ウソ!? なんだかんだ「腰が低いほど尊敬される」

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「低姿勢」を心掛けると、他人の優しさが見えてくる?

今回改めて3つの言葉の違いを述べたが恐らく「低姿勢」というものは、「哲学」「信条」「生きるために自らに課したこと」というまさに「経典」なのではないだろうか。当連載は、その経典を書いているつもりで進行させてみます(教祖になろうとしているわけではありません)。

この「信条」だが、細部に表れるものだ。

たとえば、ミーティングの場所についても低姿勢であった方がいい。現在取り組んでいるのが、とある自動車関連会社の広告・広報に関する6社競合プレゼンである。私は外部のPRプランナーとして広告代理店の下で働いている。当然仕事相手は全員年下である。

最初の打ち合わせは、話を持ち掛けてくれた人と二人だけの打ち合わせだったので、私にとって都合の良い場所で打ち合わせをした。「どこかご都合のよろしい場所はありますか?」と言ってくれたので、「代々木公園のフレッシュネスバーガーでお願いできませんでしょうか」と自分にとって都合の良い場所を正直に指定した。

しかし、その場には同氏の同僚であるもう一人が現れたためここは恐縮した。「お二人もいらっしゃるのに申し訳ありません」と。そして、今回は大阪支社のスタッフも関わっているだけに次回の打ち合わせはテレビ会議で行うこととなった。この時は営業担当も加わり、同社からは4人が参加する。今回もこの件のプランナーは丁寧なため「ご都合のよろしい場所はありますか?」と言ってきた。

テレビ会議の機材さえあれば、どこでも会議はできるのだが、さすがにこれは「御社に伺います」と言うしかないだろう。彼らの中には「キャリアが長く、相当お忙しいであろう中川さんにお時間を作っていただいた」といった気持ちがある。そこまで私自身は自分のことを立派だとは思っていないものの、多分、そういった配慮があるからこそ場所を聞いてきてくれたのだ。

人生はこうした空気を読むことの連続なのだが、若い内に他者への敬意をいかに持つか、ということが極めて重要になってくる。その「若い内」をいかにして獲得するかについてはまたいずれ。

 

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プロフィール

中川淳一郎
中川淳一郎

1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。ライター、雑誌編集などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『縁の切り方 絆と孤独を考える』『電通と博報堂は何をしているのか』『ネットは基本、クソメディア』など多数。

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