小川流2018燕改革!

若手中継ぎ陣の台頭はなぜ起こったか?
鍵は、実戦における「小さな成功体験」

2018.08.24 公式 小川流2018燕改革! 第11回

「内容」よりも、「結果」によって、
原樹理は大きく飛躍した

――開幕当初は先発だったものの、なかなか結果が出ずにリリーフに転向。そして再び先発に戻って、いいピッチングを続けている原樹理投手。彼のことをどのように見ているのか、改めて教えていただけますか?

小川 今年に限らず、これまでの原はいいピッチングをしていても、「ここぞ」の場面で点を取られて勝ち投手になれないことが続いていました。そうすると、ピンチの場面を迎えたときに、「ひょっとしたら、今回も……」というマイナスの意識が芽生えてしまうものだと思うんです。でも、ピッチャーにとっては防御率よりも、勝ち星というのは、非常に大きなものなのだと思うんです。

――いくら防御率が良くても白星がつかないよりは、たとえ打たれても、最終的には勝ち投手になっている方が、チームのため、本人のためになるかもしれませんね。

小川 そうです。まさに、原がそうだったと思います。先発で1勝もできなかった原が、ラッキーな展開で、中継ぎで1勝をした。そして、先発に戻ってからは、投げるたびにいいピッチングを続けて、白星を重ねています。やっぱり、「勝ち星」というのはピッチャーにとって、すごく大きいものだし、成功体験を積み重ねることで自信を持つこともできる。シーズン中を通じても、選手は成長することができるのだと、彼の姿を見ていて感じました。

――原投手の今季初勝利は6月28日の対中日ドラゴンズ戦。打者一人を抑えて、その裏に5点を奪ってのサヨナラ勝ちでした。たとえば、小川泰弘投手はどんなピンチの場面でも、圧倒的なアウェイ状態でも、常に淡々と投げています。そういう自信、不動心というのは天性のものなのでしょうか? それとも、後天的に身につけることができるものなのでしょうか?

小川 そこは、本人の持つ性格的な部分が大きいのかもしれないですね。もし機会があれば、ビジター球場で投げる小川に注目してほしいんですけど、彼はマウンドにいるとき周りの空気に一切影響を受けることはありません。そういう強さが彼にはある。これは練習や訓練ではどうにかなるものではないのかもしれないですね。そして、それこそピッチャーとしての大切な資質なのかもしれません。

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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