人生100年時代を幸せに生きる明日への一歩

「生きてるだけでまるもうけ」の深い意味

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これからの生活が不安

何気なく生活していると、「今後の生活の見通し」にふと不安を抱くことはないでしょうか。

この不安は、子育てを終えた状態、定年を迎えた状態、独り暮らしの状態など、人生のどのタイミングで感じ、どのような環境や経済状況で生活しているかによって、不安の程度や内容も変わってくると思います。

しかし、共通して言えることは、「明るい未来が描けない」ということではないでしょうか。例えば、今の生活はよくても、その中に何かしらの不安要素があり、この先が不安ということもあると思います。また、今が不安な生活の渦中で、今後に期待することはできないという状況もあるでしょう。

あるとき私に相談された方は、家庭の事情もあって今後のことへの不安が大きいとおっしゃっていました。その結果として家族や他人に八つ当たりをしてしまったり、何でも物事を悲観的にとらえるようになってしまい、そんな自分の姿が嫌で、どうすればこのような状態から抜け出せるかという悩みを打ち明けられました。
おそらく、同じお悩みをお持ちの方もおられるのではないでしょうか。

今回は、今後の生活に対する不安を和らげることに、少しでも役立ていただきたい考え方を紹介します。

~プラスに転換する考え方~
不安は自分の幻想だと考える

最初に確認しておくことは、人生というものは「一寸先は闇」という言葉があるように、わずかな距離や時間の先は真っ暗闇で、そこで何が起こるのか全くわからないものです。これは「誰も」が同じです。この「誰も」には、今後の生活に不安を感じていない人も含まれるということを忘れないでください。
「誰も」が、いつ何が起こるか分からないという、同じ条件の中で生活しています。

そのうえで、今後の生活に不安を感じる人と感じない人の違いは何かを考えてみます。
社会的な要因や経済的な要因など、さまざまなものがあると思いますが、どんな要因にしろ、行きつくところは現状に対する満足度の違いだと思います。
換言すれば、今の状況に対して「不満足の心」が大きいから、不安も大きくなるのです。

ではどうすればよいかというと、それは「満足する基準を下げる」のです。つまり、生活するうえではあれこれと「欲」はつきものですが、何ごとに対しても「欲」を小さくしていくのです。
では問題は、どうすれば「欲」を小さくすることができるのかということになります。

この方法については、身体的な規制をしたり、精神的なコントロールを促したりと、さまざまあると思いますが、ここでは、お釈迦さまの教えを通じて、世の中の事実を事実として受け止めることで、「欲」を自然と小さくしていく方法を紹介したいと思います。

仏教には「一切皆苦(いっさいかいく)」という教えがあります。
文字通り「すべてのことは皆苦しみである」という意味です。しかし、注目すべきことは「苦」というものです。実は仏教における「苦」とは、「不満足の心」を意味します。

そのうえで「一切皆苦」を考えてみると、「すべてのことは皆思い通りにならず不満足だらけだ」ということになります。つまり、世の中は基本的には思い通りにはならないということです。このことを冷静に受け止めてみてください。

すると、思い通りにならないものを思い通りになると考えてしまっていた自分の姿が浮き彫りになってこないでしょうか。これが不安を煽(あお)っていたのです。

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プロフィール

大來尚順
大來尚順

浄土真宗本願寺派 大見山 超勝寺 住職
著述家/翻訳家

1982年、山口市(徳地)生まれ。龍谷大学卒業後に渡米。米国仏教大学院に進学し修士課程を修了。その後、同国ハーバード大学神学部研究員を経て帰国。僧侶として以外にも通訳や仏教関係の書物の翻訳なども手掛け、執筆・講演・メディアなどの活動の場を幅広く持つ。2019年、龍谷大学 龍谷奨励賞を受賞。著書に『あなたは、あなた。』(アルファポリス)『超カンタン英語で仏教がよくわかる』(扶桑社) 『小さな幸せの見つけ方』(アルファポリス)など多数。

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