他人と比べない

人はなぜ他人が気になってしまうのか――浄土真宗住職に聞いた「他者への囚われ」を手放す方法

2026.09.11 公式 他人と比べない 第2回

人間の根底にある「三毒」

そもそも私たちはなぜ他人を探ってしまうのでしょうか。
その行動の奥にある「気持ち」に焦点をあてて考えてみたいと思います。
大切なのは、行動そのものよりも、その行動を引き起こす原因が何なのかを把握することです。

その原因とは、「煩悩(ぼんのう)」によるものです。
一般的には、欲望として認識されることが多いと思います。もちろん、間違いではありませんが、実はそれは「煩悩」の一側面にすぎません。

「煩悩」は、三毒と言われる

「貪(とん)」(むさぼりの気持ち)
「瞋(じん)」(いかりの気持ち)
「癡(ち)」(素直になれない気持ち)

という三つの要素から成り立っています。
これらが化学反応を起こし、さまざまな言動を生んでいくと考えられています。

さらに踏み込んでいくと、「煩悩」の正体が明らかになります。
三毒の成分は、団子三兄弟のようなもので、「一本の串」で串刺しにすることができます。
その一本の串とは、「自分の都合の良いように計算する心」です。
噛み砕いて表現するならば、「自分を可愛がる心」といえます。
これが「煩悩」の根底にはたらいている心なのです。

このことを踏まえた上で、他人のことを探ってしまう心の奥底にあるものを考えてみましょう。例えば、次のような気持ちが隠れてはいないでしょうか。

「自分がどう見られているか不安」
「嫌われたくない」
「置いていかれたくない」
「誰かに認められたい」
「自分に自信が持てない」
「孤独を感じている」

Getty Images

もしかしたら「こんな感情は抱いていない」となかなか認められない方もいるかもしれません。
しかし「他人が気になってしまう自分」を冷静に、客観的に見つめてみると、どこかにこれらの感情が潜んでいるのではないでしょうか。
これらはすべて「自分を可愛がる心」から生じる気持ちなのです。

誰しも傷つきたくありません。
知らず周囲の脅威から自分を守ろうとしています。
だから他人の行動や言葉に敏感になります。
そして不安を埋めるために、相手の情報を集めようとするのです。

ご感想はこちら

プロフィール

大來尚順
大來尚順

浄土真宗本願寺派大見山超勝寺住職
山口市議会議員/著述家/翻訳家

1982年、山口市(徳地)生まれ。龍谷大学卒業後に渡米。米国仏教大学院に進学し修士課程を修了。その後、同国ハーバード大学神学部研究員を経て帰国。僧侶として以外にも通訳や仏教関係の書物の翻訳なども手掛け、執筆・講演・メディアなどの活動の場を幅広く持つ。2019年、龍谷大学 龍谷奨励賞を受賞。著書に『訳せない日本 日本人の言葉と心』『端楽』『楽に生きる』『あなたは、あなた。』(アルファポリス)、『超カンタン英語で仏教がよくわかる』(扶桑社)など多数。

著書

楽に生きる

大來尚順 / 著
アルファポリスビジネスの人気連載「人生100年時代を幸せに生きる明日への一歩」...

訳せない日本語

大來尚順 / 著
大好評書籍、待望の文庫化! 正確に英語で訳せない日本語にこそ、実は日本古来...

あなたは、あなた。

大來尚順 / 著
アルファポリス・ビジネスの人気Web連載の書籍化! 仕事、同僚、友人、家族との...

小さな幸せの見つけ方

大來尚順 / 著
「日常の中にある、普段は気づきにくい“幸せ”を再発見すること」をテーマとした...

訳せない日本語

大來尚順 / 著
アルファポリスのビジネスサイトで大人気の連載がついに書籍化!! 正確に英語で...

端楽

大來尚順 / 著
浄土真宗本願寺派の僧侶であり、ハーバード大学研究員の経歴を持つお坊さんが、...
出版をご希望の方へ