迷えるオトナ女子のための自分らしさのトリセツ

「周りに合わせるのをやめる」と、毎日は明るくなる──自分軸を取り戻す簡単な方法

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学歴主義社会が生み出すもの

次は、資本主義や学歴主義などの社会通念がイコールその人の価値だという考え方にとらわれている人の例です。

学生の頃、成績重視で努力してきた人、就職活動のときに大手企業を目指して頑張ってきた人は、自分を評価する基準が「他者からの評価」であるという価値観が染みついています。社会的に認められることがその人の価値を決めると考えているので、相手を評価するときも自分が行動選択するときも、社会的に成功しているか、年収はいくらか、ということが気になります。そして、どちらが勝ったか、負けたかという優劣で人を判断しがちです。
ですから、「自分が何をしたいのか」「自分らしさとは何なのか」と問われるとよくわからない、という感覚に陥ります。自分のもつ「価値」や「志向性」は何なのか、外部からの価値基準で測るのではなく、自分の内側からわきでる心の声や本心に従って見つけ出すことは、難しいと感じる人もいるでしょう。

本当は芸術が好きなのに、理系の方が社会的に認められそうだからという理由で進路を決めた人は、大学進学したものの学業に身が入らず、就職した後も、何のためにこんなことをしているのか、と自分を見失うことがあります。周りの友達が出世して成功する姿と自分を比較して、自分は人生の負け組だと落ち込む人もいます。

否定されるのが怖い

あるいは、他人に否定されることを恐れる人もいます。他人に否定されると、自分はダメな人間だと認定されたような感覚になるのは、他人からの評価が自分の価値だと信じているからです。本当ならば、相手から否定されたとしても、自分の価値は変わらない。自分が良いと思えばそれでよいのですが、自信がない人は、なかなかそうは思えません。

例えば、大好きな“推し”がいるのだけれど友達にバレたらどんな反応をされるか怖くてなかなか言い出せず、隠そうとする。仕事でわからないところがあるのに、質問すると怒られるのではないかとビクビクしてしまい、なかなか言い出せず、自分なりに調べて解決しようと迷っているうちに時間がかかってしまい、かえって怒られてしまう。
否定されるのが怖い、相手を怒らせるのが怖い、そして傷つくのが怖い。だから自分を表現するのを控え、内側に留めるようになるのです。

また、幼いころから周りの大人の顔色を伺い、自分がやりたいことよりも周りの期待にこたえることを優先し生きてきた人もいます。
自分の意見を言うと「わがままだ」「自分勝手」と否定され、要望通りに従わないと大人の機嫌が悪くなり、居心地の悪い雰囲気にさらされ、いたたまれなくなる。
なかには「あなたは親の言う通りにしておけばいい」「大人の言うことに従っておけば間違いないから」と言われ続けてきた人もいます。

このような環境で育った人は、コミュニケーションの「正解」を相手の感情にあわせて導き出すクセがつきます。肝心な自分の本当の気持ちを後回しにして、無意識のうちに相手の望む反応をしたり、先回りして相手の機嫌を損ねないよう振る舞ったりするうちに、自分の感情がよくわからなくなってしまうのです。
そのため、自分の意見を言うのに時間がかかってしまう、ということが起きます。その場では、相手の都合や相手の論理を受け入れやりとりするのですが、あとになって、なんだかモヤモヤする、よく考えてみたら、ちょっとイヤだったかも、断ればよかった、と時間差で気づくことが起きるのです。

心の声に耳を傾ける

「同調性」「他人軸」は、それ自体が悪、というものではありません。誰にでもあるものですし、社会に適応して生活するには、ある程度は必要なものでしょう。
けれども、無意識に自分の判断基準が「自分軸」ではなく、「同調性」や「他人軸」100パーセントになっているとしたら、いったん立ち止まって、自分に問いかけてみましょう。「本当はどうしたい?」と。

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プロフィール

高井祐子
高井祐子

神戸心理療法センター代表。公認心理師。臨床心理士。アンガーマネジメントファシリテーター。主に認知行動療法、マインドフルネスを用いて個人心理療法をおこなう。20年のカウンセラー歴を持ち、2025年4月までに、のべ15,602名と関わる。オンラインカウンセリングでは、日本全国のみならず海外からの相談に対応、グローバルに「こころの専門家」として活動している。著書に『認知行動療法で「なりたい自分」になる』(創元社)、『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』(大和出版)、『ラクに生きるための「心の地図」』(ナツメ社)などがある。

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