人生を航海に例えることがあります。
舵を握るのはあなた自身。行き先はあなたが自分の意志で決めるもの。あなたの船はどこへ向かっていますか?
とりあえず出航したものの、どこへ向かって舵を切ればよいかわからず、荒波にもまれ、潮の流れに身を任せ、「とりあえず、あっちの方が良いと誰かが言っていたから」という不明確な理由で、まさかの漂流状態になっているとしたら、大変です。
一緒に、航路を見定めてみましょう。
とはいえ、行き先がすぐに見つからない人に「どこに行きたいか」とたずねても、「わからない」という答えが返ってきそうです。「何がしたいか」と聞かれても、「うーん。これといって特にないんだよな」と困ってしまうかもしれません。
でも、どこに行きたいか、何がしたいか、というポジティブな質問には答えられなくても、「何がしたくないか」「何が嫌か」という質問なら意外と答えられるかもしれませんね。
そこで、自分の感情に目を向けてみましょう。感情といっても、今回は、ワクワクドキドキといったポジティブな感情ではなく、イライラやモヤモヤといったネガティブな感情に焦点を当ててみます。
あなたは、イライラ、モヤモヤといったネガティブな感情がわいてきたとき、その不快な感情から目を背けていませんか? 「イヤな感じがするし、落ち着かないから早く解消したい」とすぐさまストレス発散の方向に意識を向ける人は多いはずです。
けれども、モヤモヤの元を突き止めることは、これまで気づかなかった自分の「ホンネ」に近づけるチャンスでもあります。
もしかしたら、長年、向き合おうとしてこなかった、自分の苦しさの元が何だったのかを発見できる絶好の機会かもしれないのです。
自分のことをもっと知りたいなら、そのモヤモヤを言語化してみてください。
モヤモヤは、不満や葛藤の表れでもあります。欲求や主張の抑圧、我慢していること、大切にしている価値観などがモヤモヤの奥底には隠れています。
ただモヤモヤを解消しようとするのではなく、そのモヤモヤがいったいどこからくるのか、よく観察してみてください。モヤモヤ、イライラの元が明確になると、自分のホンネもはっきりしますよ。
あなたが最近モヤモヤしたことはなんでしょう。些細なことでイライラしていませんか。
いったい何に対して心がひっかかっているのか、どうしてこんなにイライラするのか、自分でもよくわからないこと、ありますよね。
会議中の誰かの発言について、なんだかモヤモヤ。またあるときは、実家の親との電話のときに、理由はよくわからないけれど、なんだかモヤモヤ。
何が引っかかっているのか、モヤモヤの正体がわからないときは、そのモヤモヤを言語化してみましょう。
人に話を聞いてもらうのも一つの方法です。意見を求めるのではなく、ただ、話を聞いてもらうのです。頭でグルグル考えるより、言葉に出すと、自分の思いが明確になり、モヤモヤポイントを発見することができますよ。
すぐに相手が思いつかない人はノートに書き出すのも同じ効果がありますよ。ノートに書き出すときは、無理にまとめようとしないで、思いつくまま書き出してみます。
Sさんの言語化の例
「会議中に個人を攻撃する人がいて、その発言を聞いていたらすごく辛くなってしまった。あんなに大勢の前で、個人を非難する必要があるとは思えない。非難されている人のことが本当に気の毒だった。もしも自分があの人と同じようにいつか標的になったらどうしようと想像すると、怖くてしかたない。かといって、その発言を自分は止めることもできなかった。だってあんな雰囲気の中で発現するなんて、そんな勇気ないよ。結局、何も言えず黙って聞くしかなかった。何も言えない、そんな自分が情けなかったし、他の人も止めようとしなかったことに対しても失望してしまった」
こんなふうに思いつくままに話しているうちに、あぁ、それでモヤモヤしていたんだ、と腑に落ちます。
Sさんは「人前で個人を攻撃するべきではない」といった価値観があるから、こんなにモヤモヤしたのです。「攻撃されている人がいたら、フォローに回る人間になりたい」と思っているから、そうできなかった自分自身に怒りを感じたのです。
ここから、「個人を攻撃する人に対して誰も指摘しない職場ではなく、お互いに指摘しあえる雰囲気の職場で働きたいと思っているのだ」と自分の理想がわかるのです。
実際にそれらがすぐに解決するわけではありませんが、いったい何にひっかかっていたのか自分の発した言葉で明確になると、不思議と気持ちが落ち着くものです。