悩みを打ち明け、弱みをさらけ出せる環境があることが、組織にとってどのように良い影響があるのか、ビジネスの現場での例を挙げましょう。
私が組織開発で関わった、とある飲食店があります。店舗の雰囲気は最悪。スタッフの意識は低く、接客態度は最低評価。宴会の予約入ると「かったるい」という声が上がる。人間関係もギクシャクしており、悪口陰口ばかり。誰もが楽しく働いていませんでした。
そんな店舗へ、新しい店長が配属されてきたのですが、彼が来てからというもの、店舗の雰囲気が劇的に良くなりました。なんと、それまで愚痴しか言わなかったスタッフが皆、前向きになり、地域でも評判の店へと変貌したのです。
彼はいったい何をしたのでしょうか。三択クイズにしてみます。
1.ネガティブなスタッフを全員辞めさせた
2.厳しく指導し、トイレ掃除から始めさせた
3.彼自身が誰よりも働いた
どうでしょう。どれもそれっぽい対策のようですが、答えは……全部はずれです。
店長がやったことは、始業前の朝礼の内容を変えた、それだけ。そもそも飲食店はメンバー全員が同時にそろわないので朝礼がやりづらいのですが、彼は「1on1朝礼」として、出勤したメンバー1人ひとりに声をかける形にしたのです。そして、悩みに耳を傾け、どんないいことをしてくれたか承認するようにしました。
たとえば、前日キッチンの掃除が丁寧であれば、それを褒める。接客が頑張った人がいれば、それも褒める。1日1つかならず褒め、労うようにしたのです。
毎日やっているとモチベーションの低かったスタッフたちも変化していきます。単純なようですが、1on1朝礼で褒められるのが嬉しくて、率先して店に貢献するようになったのです。
そうして、スタッフのほうから「うちの店のサービスレベルを上げたい」という意見が上がるまでになりました。
このケースは、悩みを打ち明け、弱みをさらけ出せる環境づくりだけでなく、前向きな声かけをすることによって「良いことをすれば褒めてもらえる」「がんばった人がバカを見ない」「見てくれている」という感覚を育むに至ったケースではありますが、「お悩み相談室面談」がうまく作用した好例だと言えます。
改めて結論を述べると、家庭内で、自分の弱みをさらけ出すこと、相手の弱みを受け入れる、そんな環境をつくり出すことが重要です。
先の飲食店の例では、「1on1朝礼」というルーティンが店舗の雰囲気を変えたように、家庭の中に「お悩み相談室面談」という仕組みがあるとよいでしょう。
ちなみに私の家庭では、「奥さんと毎日話すこと」をマストにしています。遠くに出張しても、必ず奥さんと会話することを自分に課しているのです。そして、仕事の悩みにとどまらず、仕事のスケジュールから、細かい予算、将来の展望まで、奥さんと共有しています。
まずは今日、話すことから始めてみてください。もしできるようであれば、自分の仕事の悩みを話してみましょう。
それだけでも、確実に変化は起きます。