村上宗隆再離脱ににじむ指揮官の苦悩……
「厳しいけれど、次の戦い方を考えていくしかない」

木澤尚文の起用法について

――もう一つの課題であり、懸案の中継ぎ陣ですが、ここまで石山泰稚投手、荘司宏太投手の無双ぶりが続いています。両投手についてはどう見ていますか？

髙津　まず石山に関しては、そうだな、大げさじゃなくて「これまで見てきた中で、今がいちばんいいかな」と思っています。腕の振りと変化球のキレはすごくいい状態にあると思いますね。今はまったく問題ないので、このまま長い期間この好調を維持してほしいなと思います。荘司に関しては、こちらの期待以上に「頑張っているな」という感じはします。確かに、真っ直ぐに関しても癖球だし、カーブで緩急も取れるし、何と言ってもチェンジアップを左バッターにも投げることができるので、非常に大きな武器になっていますね。腕の振りであの球速帯を出す難しさっていうのは、ピッチャーならみんなわかっていると思うけど、それを新人の子がもうパッとできるっていうのはすばらしいなと思いますね。モタモタしているリリーフ陣ですけど、この２人がいてとても助かっています。

――その一方で田口麗斗選手、清水昇選手が、終盤の大事なところで本来の力を発揮していません。実績のあるこの２人についてはどうご覧になっていますか？

髙津　田口はそんなに特別悪いとは思わないですね。もちろん、以前クローザーをやっていたときと比べたら被打率は高くなっているし、ランナーを出す確率も高いし、長打を打たれる確率も高くなっているかもしれないですけど、「投げるボール自体はそんなに変わってないのかな」と思います。ただ、清水に関しては明らかにスピード、キレ、変化球の精度などなど含めて、ちょっとリセットが必要。一番は腕の振りが悪い。それでファームに行くことになりました。

――現時点での中継ぎ陣を見ていると、先ほどの荘司、石山選手に加え、今年はピンチの場面での木澤尚文投手の活躍が目立ちます。

髙津　木澤も頑張っていますね。でもね、彼の場合は使いどころをきちんと考えると、さらに生きる投手だと思っています。起用法によって生きたり死んだりするタイプのピッチャーで、判断のタイミングが難しいのですが、絶対に間違えてはいけないとも思っています。

――確かに木澤投手の場合は、イニングの頭から登板するよりも、他のピッチャーが作ったピンチだとさらに燃える感じですね。

髙津　その通りですね。変にまとまったピッチャーよりも、少々荒れながら投げるピッチャーの方が、相手からしてもすごく嫌だと思います。１イニングに15球、20球投げさせるより、ピンチの場面で１球でゲッツーで仕留める状況でマウンドに上げた方が、多くのアウトを取る可能性があるのかなとも思っています。本人はしんどいでしょうけどね。誰もが持っている訳ではない、特殊な技能？とでも言っておきましょう。

――比較的おとなしい印象の選手が多いスワローズの中で、あれだけ気迫を前面に出すことのできるピッチャーはなかなか得難いし、ファンを魅了してくれますね。

髙津　いいんじゃないですか。確かにおとなしい投手陣ですからね。ああいうタイプが１人ぐらいいてもいいですよ。ただ、結構ロッカーだと静かですよ、あいつ（笑）。じっと本読んでいたり、音楽聞いていたり、動画見ていたり。そうやって充電しているみたいですね。彼はロッカーが角なので、よく顔を見るんです。「お前、仕事せえよ」って言ったら、「お願いします」って言っていますけどね。木澤のようなタイプはケアするタイミングだけ見ておけば放っておいても大丈夫。頼もしいヤツですよ（笑）。

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