京都が「ディープテックの聖地」になる…「行政×スタートアップ」の化学反応

 でも、京都のスタートアップにとって環境を良くするには、ネットワークを作ってあげないといけないというところで、お世話になっているアドバイザーの方たちからスタートアップや投資家のコミュニティがあるという話を聞き、IVSの方々をご紹介いただきました。そして、島川さんや現在の運営メンバーとお話させていただいたというのが始まりです。

 京都開催の話は出てきましたが、まだコロナ禍だったので、結局通常の形では開催できませんでした。IVSにずっと参画されている起業家や投資家の方々をIVS側で組んでいただき、オンラインで京都のスタートアップがいろいろ相談できる場を設けたのが2022年の3月でした。

――2023年の京都から招待制をやめて大規模開催になりましたね。

中原氏 はい、コロナ明けに世界的にもスタートアップの盛り上がりがみられる中で、IVS側も日本が他国に後れを取らないよう、国際標準の本格的な国際カンファレンスにしようという方針になっていました。また、すでに起業した人ばかりでなく、これから起業する層を増やしていこうということやグローバル企業とのネットワーク構築などもテーマとなり、招待制をやめることになりました。学生が多く海外での認知度が高いという都市ブランドのある京都であれば、そういう方々も呼び込みやすいということで開催地に選ばれました。

 京都で大規模に開催したいというオファーをいただき、国際カンファレンスという形なら京都としても力を入れて支援する意義があるということで合意しました。

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観光だけでなく“スタートアップ都市”としての情報発信

――IVSを京都で開催して得られた成果や手応えについてお話しください。

中原氏 成果は3つほどあったと思います。1つは、京都とスタートアップという言葉が結びついて、大きく発信されたということです。スタートアップ支援の取り組みはしてきましたが、観光地としての圧倒的な世界的ブランディングの前では、京都をビジネスの地と認識いただくことは一筋縄ではいきません。京都でスタートアップという形で情報発信ができたのは非常に大きくて、行政だけではできなかったと思います。

 2つ目は、IVSが京都のスタートアップ関係者やビジネス界隈の方々が一堂に会する機会になり、一気に距離が近くなったことです。京都のスタートアップエコシステムで関わる方々はもちろん顔なじみだったり、事業会社の方々とも接点はあったのですが、一つの事業に一緒に取り組むことで、お互いの強みや今力を入れていること等があらためてわかる機会となりました。事業会社のスタートアップ連携の窓口になっている担当者とも対話をさせていただく機会が増え京都の産業界とスタートアップ関係者の関係性が強くなったと感じています。

 3つ目は、実際に京都のスタートアップ・エコシステムの可能性を直に感じていただけたことで、首都圏のVC(ベンチャーキャピタル)がブランチを4社ほど立てていただけたことです。IVSの求心力で府内外からたくさんのスタートアップや投資家の方々、さらには学生にもにお集まりいただけたからこそ、このような動きが生まれたのかなと思っています。

――カンファレンスもスタートアップ支援の1つですが、京都府としては今後、どのように支援していきますか。

中原氏 京都の強みは、やはりディープテックだと思います。大学や研究機関の集積を核に、そこから生まれた研究シーズから事業を生み出していくというものです。実際、この分野の企業が大きく成長してきていますし、全体に占める割合も高いというのが京都の特徴です。京都府としてはディープテックスタートアップの創出・成長環境のさらなる充実に向けて、これまで以上に力を入れていきたいです。