米国で寿司ロボット需要が爆発的急伸…米飯加工ロボットメーカーの海外展開が加速

谷口 これまでの海外事業における当社の販売活動は、厨房機器商社などの販売店やお客 様からのダイレクトな問い合わせに対して応える受動的な販売活動が主でした。それでも日本食の普及拡大に加えて、競合他社が1、2社と少なく国内におけるトップメーカーとしてのブランド力で事業は拡大を続けることができました。

 しかしながら世界という広大な事業フィールドでは当社が把握している以上に潜在的な市場はあり、その潜在的な需要を効率的に取り込むためには、当社が能動的にお客様や販売店にアプローチすることに加えて、新たな販売チャネル網を構築することが重要であると考えています。そうした考えに基づき日系の食材卸会社とより密接な協業を図っていきます。日系の食材卸会社は、日常的に日本食の外食事業者やスーパーマーケット事業者と繋がっていますから。

――どんな取り組みを考えていますか。

谷口 海外の主要市場における能動的かつ効率的な販売促進活動に向けた変革として、国 や都市の市場特性に合わせた多角的な営業戦略を推進します。

 例えば、米国やヨーロッパの 100~1000 店舗規模で展開する外食チェーンやスーパーマーケット等に対しては、日本と同様に当社主体の提案型営業を強化します。単なる製品の紹介ではなく、オペレーションの効率化や売上向上に直結するソリューションを提供することで、顧客の潜在的なニーズを引き出します。

 一方で、店舗数の少ない中小事業者に対しては、販売店や日系の食材卸売会社との連携が鍵になると考えています。例えば米国の日系食材卸売会社は全米の主要都市に拠点を持ち、スーパーマーケットや外食産業への強い販売チャネルを有していますので、当社に代わって積極的な当社製品の販売活動を行って頂く為の勉強会や展示会協力、販売インセンティブの仕組み等を強化していきます。こうした取り組みにより全米へ効率的に当社製品を広げることが可能になると考えています。

中期経営計画「Next2028」

――中期経営計画「Next2028」では、28年3月期のROE12%達成を掲げています。ROE は20年3月期の2.8%から25年3月期には9.6%まで上昇しています。ROE12%の目標に対して、どのように取り組んでいきますか。

谷口 当社は米飯加工機械メーカーというニッチな事業領域に加えて、グローバル市場で 年率平均約12%の成長を実現する企業であり、そうした経営および事業リスクを踏まえた保守的な財務運営が重要であると考えています。前中期経営計画「Growth2025」では、来年春に稼働を開始する大型の生産工場への投資、効率的な経営や事業運営をするためのシステム投資、そして新事業領域も含む様々な開発投資など新たな成長軌道の実現に向けた様々な投資を実行してきました。そうした投資コスト先行の中でROEが改善されたのは、コスト増を上回る利益成長が実現できたからです。中期経営計画「Next2028」でも保守的な財務経営を基本とするのは変わりませんが、これまでに実行した成長投資の効果による超過利益を実現しながらROE12%を達成していきます。

――中期経営計画「Next2028」の基本方針で「真のグローバル企業体制の構築」「付加価値 創造型企業への進化」を掲げています。この基本方針についてもう少し詳しく聞かせてください。

谷口 まず「真のグローバル企業体制の構築」についてですが、一言でいうと全社挙げてグローバル事業拡大に取り組むということです。これまでの当社の海外事業は日本食文化がグローバルに普及・浸透していく中で自然に事業が拡大してきましたので、海外事業部門のみが受動的に活動するだけで良かったのです。