驚異のユーザー1200万人…BTSからミセスやカワラボも参入「Weverse」の実力

MAU300万から1200万へ――韓国企業ではなく「グローバル企業」

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 数字はWeverseの成長を雄弁に物語ってくれる。5年前、月間アクティブユーザー(MAU)は300万人だった。それが現在は1200万人と4倍に成長している。参加アーティストは170組を超え、そのうちHYBE MUSIC GROUP所属アーティストはわずか10%に過ぎない。

「韓国、日本、ラテンアメリカなど、さまざまな国のアーティストが参画しています。実は、韓国ユーザーの割合も全体の10%しかいないんです」

 トラフィックと売上の多い国は、日本、韓国、インド、インドネシア、中国、メキシコ、アメリカの7カ国に集中する。いわば、韓国発のプラットフォームでありながら、すでに「グローバル企業」としての性質を持っているのだ。

「この事業を運営しながら驚いたのは、こんなに多くのスーパーファンが全世界に広がっているということ。このサービスの可能性を改めて実感しました」

「ファンの幸せ」をKPIに置く思想

 そんな急成長を支えたのは「ファンダムライフ」というコンセプトだ。それは、現代の世界のテック企業の中では特筆すべきものである。

 チェ氏は、ファンという存在の本質について語る。

「ファンという存在は、音楽のファンだけではありません。スポーツのファンかもしれないし、コンテンツのファンかもしれない。重要なのは、彼らの行動や心理を満たすことで、いかに没入感を引き上げるかです」

 ここで注目すべきは、チェ氏が「没入感」という言葉を使っていることだ。多くのテック企業が「滞在時間」や「DAU(デイリーアクティブユーザー)」をKPIに置き、アルゴリズムで負の感情を煽って中毒化を狙うのに対し、Weverseは「感情的満足」そのものを最終目標としている。

 チェ氏は、自身が「釣りのファンになるかもしれないし、自動車にはまるかもしれない」と語り、あらゆる「はまっている人たち」の行動パターンを分析することに興味があると明かした。

「1人の人がファンになっていく段階には、グラデーションがあります。番組やSNSでスターを発見し、興味を持ち、動画プラットフォームなどで検索する。そこからさらに没入して、グッズを買ったり、コンサートに行ったり、最終的には自分が主体となってコンテンツやグッズを作り上げたりする。我々は、このファンたちの一連の没入行動に着目しています」

 この「没入行動」がアルゴリズムで強制的にエスカレートさせるものではない。ファン自身が「主体」となって自然に深まっていく構造だということだ。行動心理学と文化研究をベースに、「熱量が自然に深まる」環境を整える。これこそが、Weverseの設計思想である。

 この「没入行動」を支えるため、Weverseには数十のサービスが実装されている。中でも特に重要なのが、2つの機能だ。

Weverse LIVE――「安全地帯」でのリアルタイムコミュニケーション

 1つ目は「Weverse LIVE」だ。チェ氏は、この機能がWeverseの中核をなすと語る。

「Weverseにはコマース機能もありますが、最も愛されているのは、アーティストとファンが直接コミュニケーションを取れるコミュニティです。その中で最も密にコミュニケーションできるのがWeverse LIVEです」

 アーティストにとって、Weverseは「自分を愛してくれる人たちが集まる安全地帯」だという。SNSのように不特定多数ではなく、確実に自分のファンが集まる場所だからこそ、リラックスしてコミュニケーションが取れる。

 この機能を強化するため、WeverseはNaverの「V LIVE」を5年前に統合した。結果、ファンの滞在時間が飛躍的に増加した。