「メルカリ包囲網」か「店舗の再定義」か…ファミマ×ブックオフ提携に見る伊藤忠の“脱・小売”戦略

 もっとも、この提携が想定通りに機能するかどうかは、今後の運用実績を見極める必要がある。査定額がフリマアプリでの想定売却額を大きく下回る場合、「手間をかけずに売りたい」層以外の利用は広がりにくいだろう。また、店舗側が「受け取るだけ」で完結する設計になっているとはいえ、繁忙時間帯の荷物滞留やロッカーの容量不足など、現場レベルでの想定外の負荷が生じる可能性も否定できない。加えて、伊藤忠のブックオフGHDに対する出資比率は5.01%にとどまり、経営への関与度合いは限定的である点も踏まえておく必要がある。今回の提携を「伊藤忠による囲い込み」と単純化して捉えるよりも、各社が持つ資産を持ち寄った実験的な取り組みとして、中立的に評価するのが妥当だろう。

リアル店舗を持つ強者が示す「次の流通革命」

 メルカリをはじめとするフリマアプリは、この10年でCtoCリユースの主役となった。メルカリの2025年度第3四半期の国内流通総額は2,923億円(前年同期比6%増)に達し、コア営業利益は88億円と過去最高を更新している。デジタル完結型のビジネスモデルが市場を牽引してきたのは事実だ。

 そうしたなかで、今回のファミマ×ブックオフの提携は、「圧倒的な生活圏カバー率を持つリアル店舗網」が持つ固有の強みを再確認させる事例といえる。ネットとリアルは対立関係にあるのではなく、それぞれが異なる利便性を提供することで、ユーザーの選択肢を広げているというのが実態に近いだろう。

 今後、クリーニングや修理受付、シェアリングサービスの受け渡しなど、様々な「回収・引き渡しの窓口」がコンビニに集約されていく可能性はある。もっとも、それが実現するかどうかは、今回のような個別サービスが店舗運営に過度な負荷をかけず、かつ利用者にとって使い勝手の良いものとして定着するかという、地道な検証の積み重ねにかかっている。コンビニという業態が「小売業」から「生活インフラ業」へと変容していく過程を占う意味でも、今回の提携の実際の運用実績には注目が集まる。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=永田由紀/流通コンサルタント)

【主な参照データ】
ファミリーマート ニュースリリース「お近くのファミリーマートから発送!『ファミマでかんたん!ブックオフ買取』を開始」(2026年8月19日)
ブックオフグループホールディングス プレスリリース「【コンビニついでのリユースを日常に】『ファミマでかんたん!ブックオフ買取』スタート」 
伊藤忠商事「ブックオフグループホールディングス株式会社との資本・業務提携について」(2026年2月18日)
日本経済新聞「伊藤忠商事、ブックオフGHDと資本提携 物価高で中古品に成長期待」
ITmedia NEWS「ファミマ、全国約1万6000店で中古品を引き取りへ『ブックオフ宅配買取』の窓口に 伊藤忠との提携で」
Circular Economy Hub「メルカリ、第3四半期コア営業利益が前年同期比85%増、過去最高を更新」
MOOV「【2026年最新】リユース市場の現状と将来性|4兆円時代の業界動向と経営戦略」