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世界から音が消えゆく浮遊大陸「レゾナンス」。
楽器職人の青年カイルは、最愛の幼馴染であり、世界の希望であった聖女エルナを戦線で失う。
絶望の淵に響く「葬送の鐘」。しかしその夜、工房のドアを叩いたのは、雨に濡れることもない、死んだはずのエルナだった。
「ただいま、カイル。私、奇跡的に助かったの」
彼女は微笑む。だが、調律師であるカイルの耳には、彼女の胸から響くはずの「鼓動」が全く聞こえてこなかった。
彼女は死んでいる。これは、天界から盗み出した、わずか十日間だけの残酷な「嘘」。
周囲の人々から彼女の姿が消え、カイルの記憶から彼女の名前が削り取られていく。
記憶を代償に、死者を繋ぎ止めることは罪なのか、それとも愛なのか。
「忘れていいのよ。それが、私のついた最後の嘘だから」
これは、音を失った世界で、一人の職人と「視えない聖女」が奏でた、最も切なくて美しい十日間の不協和音。
文字数 16,195
最終更新日 2026.05.13
登録日 2026.05.13
「君の代わりなど、掃いて捨てるほどいる」――。婚約者である第二王子にそう告げられ、事務官シルフィアは王宮を追放された。だが、傲慢な王子は知らなかった。王宮の全文書、宝物庫、果ては防衛結界に至るまで、彼女の「魔紋認証」で封印されていることを。彼女が隣国の冷徹な大公に熱烈に溺愛される中、王宮は物理的に「開かない」絶望の牢獄と化していく。
文字数 14,503
最終更新日 2026.05.04
登録日 2026.05.04
「君は公爵夫人の鑑だ。今回も我慢してくれ」――浮気相手を庇う夫の言葉に、セリアの心は氷結した。彼女は王国有数の計算魔導士。夫の全資産を合法的に「洗浄」し、隣国へ亡命。荒野を買い取り、経済特区を作り上げた。一方、無一文になった元夫は日雇い労働者に転落。再会した彼にセリアは告げる。「今のあなたの時給では、私の1秒も買えませんわ」
文字数 20,043
最終更新日 2026.04.24
登録日 2026.04.24
「君は健康だからいいよね」結婚記念日、夫は病弱(自称)な幼馴染を優先し、私を捨て置いた。侯爵令嬢エルナは決意する。この国を支える魔導結界、財政管理、屋敷の全実務――すべてを投げ出し、私の価値を正しく評価する場所へ行くと。鍵を折った瞬間、崩壊は始まった。今さら愛している? お門違いも甚だしいですわ。
文字数 23,972
最終更新日 2026.04.21
登録日 2026.04.21
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