貴方が選んだ事でしょう? 〜婚約者が幼馴染を優先している間に、領地を丸ごと乗っ取りました〜
「君は有能だから、僕がいなくても完璧に夜会を仕切れるだろう?」
アイゼンハル辺境伯領の次期当主ジークヴァルトは、重要度最大の大夜会を放り出し、またしても「急な体調不良」を訴えた幼馴染の男爵令嬢セリアーナの元へと駆けつけた。これが今年だけで実に12回目。
ジークヴァルトは、婚約者であるブライトナー公爵令嬢オルテンシアの圧倒的な有能さに甘え、溺れ、「どれだけ放置しても彼女は自分を支え続ける」と傲慢にも信じ切っていた。彼が幼馴染との甘い時間にうつつを抜かし、公金を横領して貢いでいることすら、オルテンシアが裏で全て処理してくれているからだと錯覚して――。
だが、知性を湛えたアメジストの瞳を持つオルテンシアの冷徹な合理主義は、すでに一つの結論を導き出していた。
『義務を果たせぬ無能に、この領地を委ねる価値はありませんわ』
オルテンシアが抱いたのは、怒りではなく、数字の狂ったエラー(無能)への深い呆れ。
彼女はジークヴァルトに一切の感情を向けることなく、彼が知らない裏の盤面で、冷酷なる【領地乗っ取り計画】の第1手を打ち下ろす!
夜会の裏でオルテンシアが秘密裏に接触したのは、隣国の若き冷徹な支配者、レオン・ド・ヴァロア大公。
「哀れな令嬢の復讐劇かと思えば、その実、国家規模の経済侵略か。気に入った」
オルテンシアの天才的な頭脳と作成された極秘の解体計画書に極上の価値を見出したレオンは、国家予算の1割に及ぶ軍資金の提供を約束し、二人は冷徹な共犯関係の契約を結ぶ。
何一つ気づいていない無能な婚約者が、甘い代償と共にすべてを毟り取られ、奈落へ叩き落とされるカウントダウンが今、静かに幕を開ける――!
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『義務を果たせぬ無能に、この領地を委ねる価値はありませんわ』
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