異世界転生を断った俺に、天使がついてきた件

大学を中退し、夢も目標も見失った青年・朝霧飛来(ひらい)は、雨上がりの夜、UberEatsの配達中にトラックにはねられかけ──白い空間で目を覚ます。
そこで彼を待っていたのは、銀の羽をもつ絶世の美女・ラフィエル。異世界転生の案内役を名乗る天使だった。

「あなたには、異世界で英雄として生きる資格があります」

スキル、ハーレム、レベル上げ──
ゲームのような人生を提示され、飛来は一度は心が揺れる。
だがその瞬間、現実世界で助けようとしていた老婆の姿が脳裏をよぎる。

「──俺は、行かない」

異世界転生の“拒否”。
それは天界でも前例の少ない“エラー”だった。

混乱の中、飛来は元の世界に戻されるが、その胸に刻まれたのはひとつの力──
《共感同期(エンパシーリンク)》
他者の感情や後悔に触れてしまう、不安定で繊細なスキルだった。

その日から、彼の人生は静かに変わり始める。
街の片隅で傷ついた人の“心の声”が聞こえるようになり、飛来はそれに向き合おうとする。
だが同じ頃、「異世界転生を拒否しながらもスキルを悪用する者」が現れ、世界は揺らぎ始める。

「どうして、あんな奴に力が与えられて、俺は──」

迷いのなかで、飛来の隣に立ち続けたのは、あの天使・ラフィエルだった。

「……まったく。面倒な人間に付き合う羽目になったわ」

冷たく見えたその瞳に、やがて光が宿るとき。
彼女の背にある“翼”が、大きく広がる──

これは、異世界を選ばなかった青年と、天界すら変える一人の天使の、
共感と赦しの物語。
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