うら若き魔女の王女が恋をして、魔王になるまでの日々
輝かしいディンレル王国の歴史に、二つの光が灯る。才色兼備で正義感にあふれ、強力な魔力を秘めた第一王女アリス。3年後に生まれた、天真爛漫で姉を慕う第二王女アニス。2人は時に競い合い、時にじゃれ合いながらも深い絆で結ばれていた。奔放すぎる姉妹に周囲は振り回されながらも、その輝きは王都リュンカーラを照らす太陽のようだった。
しかし運命の歯車は残酷に回り始める。王国に服属した東方のキルア族の中に、凛とした佇まいの若き戦士ヒイラギと、神秘的な雰囲気を持つ巫女の妹マツバがいた。処刑されかけた彼らをアリスとアニスが救ったことをきっかけに、王女たちとキルアの兄妹の間に予期せぬ交流が生まれる。
正義感の強いアリスと寡黙ながらも強い信念を持つヒイラギは、互いに特別な感情を抱き始める。それは王女と「奴隷」という決して結ばれてはならない身分違いの想い。周囲がその変化に気づき始める中、マツバが見たという不吉な「王国滅亡」の予知の噂が、王宮に不穏な影を落とし始めていた。
アリスの元に舞い込む他国からの縁談話。ヒイラギへの複雑な想いを隠し、王女としての責務を果たそうとするアリス。姉の幸せを願いながらも、見え隠れする王国の暗部や父王の苦悩に気づき始めるアニス。彼女たちの知らないところで、王国を蝕む陰謀が静かに進行していた。
煌びやかな王宮の日常の裏で、少女たちの純粋な願いは、やがて避けられぬ悲劇の渦へと巻き込まれていく。これは愛ゆえに全てを失い、そして世界そのものを変貌させてしまうことになる、魔王となる、ひとりの王女の物語の序章である。
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