その婚約、誰が許したと言いました?

国の大義名分と王太子の冷淡な意思によって結ばれた“形だけの婚約”。

 王都では早くも「王太子殿下がシルヴィア令嬢を溺愛しており、辺境伯令嬢は形だけの存在だ」と噂が広まっている。

 一方で、王太子殿下自身も心のどこかで“面倒な形ばかりの妃”として私を警戒しているようだった。

 しかし私には、一見おとなしく従っているように見せかけながら、何か秘策を練えるだけの余裕がある。

 “前世の知識”と“稀有な魔術”——この両方を駆使すれば、私を踏みにじろうとする人々に**“痛快な仕返し”**をすることだって可能だ。

 もっとも、今はまだ事を荒立てる段階ではない。シルヴィア令嬢や彼女に取り巻く派閥がどこまで私に害を及ぼすのか、慎重に見極めてから動くべきだろう。

 (何にせよ、私は絶対に不幸な結末を受け入れるつもりはない。もし、この婚約が私を苦しめるだけなら——遠慮なく、**“婚約破棄”**させていただくわ)

 そう、これは私の決意の物語。

 誰もが思うがままに私を縛れると思うな。

 必ず“逆転の一手”を見せてやる。

 前世で掴めなかった幸せを、今度こそこの手で勝ち取るために。
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