孤独な夜に滲んだ紫
「こんな時間に何してるの?家出かな?」
始発までの数時間。冷えた指先、差し出された充電器、紫色の猫のキーホルダー。
名前も、連絡先も、交わしたのはそれだけ。二度と会うことはないと、お互いに分かっていたはずだった。
二年後の東京。二人の運命を静かに動かし始める。
高校生だった柚葉は大学生になり、あの夜の記憶だけを胸に、この街で新しい自分を探していた。
一方の悠真は、前日に別れを告げられたばかりの恋人・瑞希との、終わりの見えない腐れ縁に縛られたままだった。
過去に囚われた男と、まっすぐに前を向く少女。
すれ違いながらも惹かれ合う二人の間で、あの夜拾った小さな光は、少しずつ形を変えていく。
紫色の猫のキーホルダー。
雨に滲んだ月。
二つの視点で交互に紡がれる、不器用な大人の再生と、少女の成長の物語。
――あなたも、その夜の続きを見届けてほしい。
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