私創 三国志異聞奇譚 「暁に起つ鴟」〜細作の郷に生きる奴隷少年の運命転機
三国志知識はないという方、特に女性にも楽しんで貰える作品を目指しました。
大胆な創作設定で描く、過去にない恋愛憎ドラマ三国志。本作は、この後始まる長編本編への序章的作品です。
切なく耽美な、大人の世界観でつづります……。
〜プロローグ〜
歴史の大波の中には、闇世界が常、必須悪として存在する。
諜報(ちょうほう)、陰謀、奸計(かんけい)、欺瞞(ぎまん)、冤罪(えんざい)、暗殺 ……陽の下に出せぬあらゆる役目を、陰の中で遂行する〈細作(さいさく)〉。
世情がどうあろうと、彼らは生息し続ける。
時は、後漢の末(西暦2世紀末)。
四百年という中国初の長期統一安泰政権を誇った漢王朝も、いまや壊滅的な腐敗症状に堕ち、世界は群雄割拠の戦乱期に突入していた。
ある山野の奥に、人眼に秘され息づく細作の郷(さと)がある。
夏の始まりの満月夜のこと。ふたつの小さな人影が、郷の葉影で息を潜めていた。
……
【用語解説】
◆細作(さいさく):秘密や内情を密かに探るしのび。諜報、破壊、暗殺などの闇仕事を行うプロ。
◆字(あざな):姓名とは別に持つ、通常呼び合う時に使用する名前。他人が相手を諱(いみな=本名)で呼ぶのは禁忌。
◆漢王朝:秦王朝後に劉邦が創立した、中国初の長期統一王朝。前漢と後漢に分かれる。
◆泰山(たいざん):兗州泰山郡(山東省中部)にある、泰山山脈の主峰。死者の霊が集まる場所として信仰される。
◆垓下(がいか):現在の安徽省宿州市霊壁県。「霊壁奇石」は中国四大奇石の一つ。
◆五斗米道(ごとべいどう):後漢末に起こった初期道教の宗教結社。
◆漢中(かんちゅう):益州(四川省方面)の南鄭(陝西省漢中市)を中心とした一帯。漢王朝発祥の地。
◆荊州(けいしゅう):七郡を擁する広大な州(湖北・湖南両省を中心とした一帯)。
◆中原(ちゅうげん):黄河の中・下流域にある平原。中原の覇者は天下に君臨できる。
◆新野(しんや):荊州南陽郡(河南省南陽市)に属する県。
◆刺史(しし):州の監督官。やがて権限を強めた『牧』へと移行。
◆牧(ぼく):州の総督。行政・軍事全てにおいて、州の最高権限を持つ官。
◆三国鼎立:中国が三つの勢力(魏・呉・蜀)に別れ、鼎の足のように互いに対立する状態。
大胆な創作設定で描く、過去にない恋愛憎ドラマ三国志。本作は、この後始まる長編本編への序章的作品です。
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諜報(ちょうほう)、陰謀、奸計(かんけい)、欺瞞(ぎまん)、冤罪(えんざい)、暗殺 ……陽の下に出せぬあらゆる役目を、陰の中で遂行する〈細作(さいさく)〉。
世情がどうあろうと、彼らは生息し続ける。
時は、後漢の末(西暦2世紀末)。
四百年という中国初の長期統一安泰政権を誇った漢王朝も、いまや壊滅的な腐敗症状に堕ち、世界は群雄割拠の戦乱期に突入していた。
ある山野の奥に、人眼に秘され息づく細作の郷(さと)がある。
夏の始まりの満月夜のこと。ふたつの小さな人影が、郷の葉影で息を潜めていた。
……
【用語解説】
◆細作(さいさく):秘密や内情を密かに探るしのび。諜報、破壊、暗殺などの闇仕事を行うプロ。
◆字(あざな):姓名とは別に持つ、通常呼び合う時に使用する名前。他人が相手を諱(いみな=本名)で呼ぶのは禁忌。
◆漢王朝:秦王朝後に劉邦が創立した、中国初の長期統一王朝。前漢と後漢に分かれる。
◆泰山(たいざん):兗州泰山郡(山東省中部)にある、泰山山脈の主峰。死者の霊が集まる場所として信仰される。
◆垓下(がいか):現在の安徽省宿州市霊壁県。「霊壁奇石」は中国四大奇石の一つ。
◆五斗米道(ごとべいどう):後漢末に起こった初期道教の宗教結社。
◆漢中(かんちゅう):益州(四川省方面)の南鄭(陝西省漢中市)を中心とした一帯。漢王朝発祥の地。
◆荊州(けいしゅう):七郡を擁する広大な州(湖北・湖南両省を中心とした一帯)。
◆中原(ちゅうげん):黄河の中・下流域にある平原。中原の覇者は天下に君臨できる。
◆新野(しんや):荊州南陽郡(河南省南陽市)に属する県。
◆刺史(しし):州の監督官。やがて権限を強めた『牧』へと移行。
◆牧(ぼく):州の総督。行政・軍事全てにおいて、州の最高権限を持つ官。
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