大正蒸気帝都に転生した俺、地味スキル《空間歪曲》で仲間を最強にする~不完全な俺たちが神も悪魔も凌駕する~
ラノベ好きの青年・りくが目を覚ますと、そこは蒸気機関車が白煙を吐き、瓦斯灯が夜を照らす大正浪漫の異世界帝都だった。待望の転生に胸を躍らせる彼が授かったのは、小石を数センチ動かすだけの地味な能力《空間歪曲》。剣も術も使えず、金も身分もないりくは、日雇い仕事を斡旋する口入れ屋「えびす屋」で、太陽のように明るい駆け出し呪術師・陽菜と出会う。二人で請けた最初の仕事は、下水道に潜む化け鼠の退治。誰にも期待されない寄せ集めの二人だったが、陽菜を守ろうとした瞬間、りくの力は敵の攻撃を逸らし、味方の一撃を届かせる「戦場を支配する力」へと目覚め始める。
やがて仲間となるのは、無口な忍び、落ちこぼれ陰陽師、豪快な拳士、義賊、妖怪、そして人間に興味を抱く悪魔。誰もが強さと同じだけの傷や欠落を抱え、一人では届かない壁に立ち尽くしている。りくは自分が最強になるのではなく、仲間の長所を結び、攻撃の軌道、距離、位置、時間さえ歪めて、全員を最強へ変えていく。
その力に目を留めたのは、国に数人しかいない最強の剣士《天下一》静流。憧れの彼女に認められたいという小さな願いは、連続神隠し、義賊《紅蝙蝠》を巡る法と正義の衝突、帝都を蝕む秘密結社、五人の神子、天使と悪魔の戦争へ繋がっていく。現場に残される渦巻きの印。敵だけが知る、りくの能力の本当の名。仲間の何気ない言葉や過去が、後の戦いで意味を変え、別々に見えた事件が一つの巨大な企みに収束していく。そして全ての裏には、りくと同じ世界から来た“もう一人の転生者”の影があった。
これは、欠けているからこそ手を取り合える者たちが、孤独を力に変え、定められた物語そのものを覆す物語。小石一つしか動かせなかった青年は、仲間と共に笑い、迷い、傷つきながら、やがて神さえ予測できない奇跡を起こす。弱さは欠陥ではない。誰かと繋がるために空けられた、奇跡の余白なのだから。
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