コスモス・リバイブ・オンライン

廃棄星

中央基地

　とりあえず機体を放置して先に進むことにした。
ロボットはデバイス内には入らないからだ。持ち運びができるのは夢星のプラネットスキルだけだ。


　アリを殺した愛用の鉄パイプを片手に基地内を進む。敵がいないとは限らないからだ。
通路は一本道で分かれ道はない。
途中、扉があったので開けてみたけど、多くは空き部屋でなにもなかった。
残りは食堂らしき場所や会議室らしき場所だった。
　

　結構進んだけど人の気配が全くしない。
明りは付いているので動力は生きてるんだろうけど、生命体はいないのかもしれない。
　通路の最後にあった扉を開けると広い部屋に出た。
左右にそれぞれ一つずつ扉があり、正面には大きなコンソールがあった。
大きさは製造工場にあったデバイスの作成に使った物よりも遙かにでかい。


　ひとまず左右の扉を確認しに行ったけど開かなかった。ロックされているようだ。
コンソールにデバイスを嵌める。
まずはデータのダウンロード。コンソールを見つけたらダウンロード。このゲームの基本中の基本だ。


　しかし、実行したらエラーが出てしまった。原因はすぐに判明。デバイスの容量が不足していたのだ。
これじゃあどうしようもない。
　諦めようとしたとき、特殊圧縮ソフトがこのコンソール内にあるのをデバイスが教えてくれた。
適用してみると今度はエラーは出ずダウンロードを開始することができた。


　「ダウンロード完了までの時間はっと……２時間と１１分か」

　長くない？どんだけデータがあるんだよ。
空き時間を有効に活かすためにコンソール内のデータを読んでおこう。
一番上の項目は……この星の歴史か。


　読んでみるとこの施設が無人の理由が分かった。
この星の人は全滅していた。
全滅させたのは虫の主。そいつは今、この星の中心部に封じ込まれているらしい。


　どういうことなのか説明するには、ジャンクスターの成り立ちを知らなければならない。
そもそもジャンクスターはジャンクスターではなかった。
　ここは昔、ジーイフと呼ばれる惑星だった。
平和な星だったんだけど、ある日、虫の主と呼ばれた者が現れたそうだ。
正式名称はあるみたいだけど、その部分はなぜか暗号化されていて読むことはできなかった。


　虫の主は無数の巨大な虫を生み出し、ジーイフ人を虐殺していった。
もちろんジーイフ人は抵抗したんだけど全人口の９割以上が殺されたそうだ。
　最初は善戦してたらしいけど物量に押されて負けたようだ。
僕たちホムンクルスはその戦いのための兵隊だったらしい。
　残ったジーイフ人は虫の主を倒すためジーイフごと倒そうとした。
そうしなければやがて他の星にまで進出して人間を殺しつくしてしまうからだ。


　それに使われたのはブラックホール爆弾。簡単にいうとブラックホールを作り出す爆弾だ。
その威力は絶大。ジーイフは崩壊した。しかし、虫の主はそれでも倒し切れなかった。超重力でも虫の主は死ななかったそうだ。
それほどまでに虫の主の力は凄かったらしく、現在虫の主は飲み込まれないようにブラックホールを抑え付けているそうだ。


　そして、それがジャンクスターが生まれた原因らしい。
虫の主が抑え付けられず、漏れ出た重力。
それがジーイフの残骸を吸い寄せたことでジャンクスターは生まれたそうだ。


　この基地はジャンクスター誕生後に生き残りのジーイフ人が監視のために造った施設らしい。　
製造工場の方は奇蹟的に無事な状態で残ったみたいだ。
生き残りのジーイフ人はすでにここにはいないようで、死んだか他の星に行ったんだと思う。


　この星の中心には今でもブラックホールと吸い込まれないように抵抗している虫の主がいる。
もしどちらかが勝っていればジャンクスターはもうないからだ。
ブラックホールが勝てば瓦礫の山はすでに吸い込まれているし、虫の主が勝っていたらここは崩壊してる。


　ただし決着はもうすぐ着くらしい。ここは常に二つの動向を監視しているので、現在の状況も分かった。
それによるとブラックホールが勝つみたいだ。虫の主は力尽きかけている。
予測によるとあと１５００時間ほどで終わるようだ。


　ん……ということはここってあと１５００時間で無くなるんじゃないのかな。