鏡に映った花だとか、水に浮かんだ月だとか。
隣国の王家に生まれた第二王子・冬野凪音は、両国の和平を確かなものにするため、若き王・篁宵へ嫁ぐことになる。
愛のない政略結婚。
男である自分は世継ぎを残せない。正妃とは名ばかりの、お飾りとして静かに暮らせればそれでいい――そう思っていた。
けれど婚礼の日、王は何百人もの参列者の前で礼儀を破り、凪音の唇へ口づけを落とす。
「お前は正妃だ」
二十人もの妃を抱えるはずの王が向ける、あまりにも特別な執着。
その真意が分からないまま始まった王宮生活では、妃たちの嫉妬と陰謀が渦巻いていた。
偽りの夫婦として始まったはずの関係は、少しずつ互いの孤独と過去を溶かしていく。
これは、鏡に映る花のように届かないと思っていた想いと、水面に浮かぶ月のように掴めない愛が、本物へと変わっていく物語。
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