パラレルワールド奇談 中野区編
東京都新中野で2年間、独身生活を謳歌してきた埼玉県出身の俺(井上俊二)は、32歳のデータサイエンティストだ。
7月下旬のある土曜日の午後、久しぶりにエレクトリックギターの音を出してみたくなり、JR中野駅南口の「リンキーディンクスタジオ」で個人練習をした。
〝禁断の反則技〟を使った極上サウンドの波長のため、俺は大学生時代の同級生と結婚していた別次元、パラレルワールドに移動してしまった。
別次元の俺は30代の若さで、中野区議会議員となっていた。それから俺は、区長秘書の川田から極秘の特命を告げられた。中野区本町(ほんちょう)の中野区からの分離と、渋谷区本町(ほんまち)への吸収・合併を企んでいる〝分離派〟という組織の内情と黒幕を探索するというミッションだ。
任務を開始して間もなく、俺は川田から分離派のテロリストが俺の命を狙っていることを知らされた。急遽、長野県須坂市に潜行した俺は、分離派のテロリストの男に尾行されていた。俺に危害を加える意思のないことを伝えた男(200年後の俺)によると、分離派の黒幕はAIで、分離派の陰謀とは、退屈したAIの暇つぶしのエンタテインメント。俺は役者として踊らされていたのだ。
そんなカラクリを明かされた俺は、男のアドバイスに従って元の次元に戻った。安心したのも束の間、俺と入れ替わっていた別次元の俺は、まるでアイドルのような若い女子と結婚していたのだった。
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