五年苦しんだの、次は貴方の番です。~王太子妃は許す気はありません~

「フィリア、頼む」

 私の名前を呼びながら、彼が両膝を地面に落とす。
 真紅の髪に添えられた碧色の瞳が、乞うように私を見上げていた。


 彼––エリクはハーヴィン王国の王太子であり、隣国のシルヴァン国の王女の私––フィリアは彼の元へ嫁いだ。
 しかし嫁いだ先にて……私は『子が産めない』身である事を告げられる。
 絶望の中でエリクは、唯一の手を差し伸べてくれた。

 しかし待っていたのは苦しみ、耐え続けねばならぬ日々。
『子が産めない』私は、全ての苦痛を耐え続けた……全ては祖国の民のため。
 しかし、ある事実を知ってその考えは変わる。

 そして……

「頼む。俺と離婚してほしい」

 その言葉を、他でもないエリクから告げさせる事が叶った。
 実り叶ったこの瞬間、頭を落として頼み込むエリクに、私は口元に微笑みを刻む。
 
 これまで苦しんできた日々、約五年。
 それがようやく報われる。

 でもね、許す気はない。
 さぁ、エリク。
『次は貴方の番です』



   ◇◇◇◇

 ざまぁを多めにしたお話。
 強い女性が活躍する爽快さを目指しております。

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