剣客サキュバスは斬首したい ~危険な淫魔はいらないって言ってただろ? なら俺が彼女を幸せな嫁にするから~
「ああ足りない! 足りませんわ! もっと首を斬らせてくださいまし!」
暗い所ならば寝床よりダンジョン。交差するならば体ではなく鋼同士のぶつかり。飲み込むなら白濁ではなく鮮血を。
刀を手にスミレ色の衣をまとい、淫魔(サキュバス)であるムラクモ・スミレは今日もダンジョンに湧くモンスターの首をはねる。だがこの美女、照れたり笑ったりするとものすごく可愛い。
しかし、彼女に恐怖する冒険者達はそのことを知らない。あいつは危険な冒険者だと恐れるばかり。
刀を持って死地に飛び込み、赤い花を戦場に咲かせる異端なる剣客淫魔。守るために剣を振るう、英雄と名乗る物静かな男クラウス。
「えへへっ、えへへ、クラウスさぁん。大好きですわ。あなたの精も愛も心も首も、いつかぜんぶぜ~んぶいただきますねっ」
「なんだ、えへへって……可愛すぎるだろ!」
「はい、あなたの可愛いスミレです。今度デートへ行きましょうねっ」
本当の彼女は乙女なのだ。一途で強くて愛してくれる純情な淫魔だとは思わなかった? その事実に有象無象の冒険者達が今頃気づいてももう遅い。
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