君が遺した種子は、森には還らなかった。──世界を滅ぼす不老不死の夫へ、余命1000年のエルフが最期の奇跡を遺すまで──
私が遺せるのは、命を削る優しい嘘だけ。
『──勇者が絶望したその時、魔王は復活し世界を喰らい尽くす』
かつて世界を救った人間の勇者・バロウは、魔王の呪いにより「愛する者を失い、絶望すれば世界を滅ぼす不老不死の時限爆弾」へと成り果てた。
世界から迫害された彼の手を引いたのは、共に戦ったエルフの魔法使いフィア。
彼女は彼を絶望させないため、誰よりも深く彼を愛し、外界から隔絶された森の奥で、二人きりの穏やかな日々を紡ぎ始める。
しかし、永遠を生きる彼に対し、エルフの彼女には「寿命」があった。
エルフの理に従い、光となって何も遺さず消えてしまえば、たった一人残される彼は必ず絶望し、世界は終わる。
だから彼女は、エルフの理に反逆する。
自分の命と五感を削り落とし、彼の手の中に絶対的な『愛の証(種子)』を遺すという、禁忌の研究に手を染めた。
味がしなくなったシチューを「美味しい」と微笑み、
ほとんど見えなくなった目で彼の輪郭を見つめ、
火傷の痛みも感じない手で、彼に「ずっと一緒にいるわ」と優しい嘘を吐き続ける。
これは、世界を滅ぼす不器用な夫と、彼を絶望させないために世界を敵に回した妻の、千年にわたる残酷で美しい『嘘』の物語。
全15話完結。毎日投稿 全話予約済みです。
※本作は非常に重く、切ない、純愛ダークファンタジーです。手軽な『スカッと』や『爽快感』を求める方にはお勧めできません。
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