最後の一粒は甘くなくていい
八年前に別れた彼と、もう一度会うことになった。
きっかけは、二人で通っていた小さな菓子店の閉店。店主から預かったのは、彼が作ったチョコレートコスモスの花の型だった。
六粒のチョコレートを分け合った日曜日。言えなかった「そばにいてほしい」。仕事と母の世話の間で、互いの気持ちを確かめないまま選んだ別れ。
十月一日、店の最後の日。懐かしい作業音と甘い香りの中で、二人はようやく、あのころの本音を口にする。けれど、八年という時間は、それぞれの暮らしを変えていた。
「恋の思い出」「恋の終わり」「移り変わらぬ気持ち」。
三つの花言葉に重ねて描く、忘れられない恋と、ひとりの明日を迎えるための、ほろ苦い短編。
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