側妃への恋文まで書かされたので、代筆は今日でやめます
「アデリーヌ。これを、いつもの調子で頼む」
差し出された紙にはこう書いてございました。――側妃に迎えたい令嬢へ贈る、愛の手紙の下書き。
わたくし、七年間、殿下のお手紙をすべて代筆してまいりましたの。詫び状も、外交の親書も、お礼状も。筆跡も言い回しも、殿下ご本人よりずっと殿下らしく書けますのよ。
ですが、これは。
「――かしこまりました。これで、最後にいたしますわ」
その晩、婚約は破棄されましたわ。おめでとうございます。
翌朝から、殿下はご自分でお書きになりましたの。誤字も、敬称の間違いも、そのままに。隣国の陛下のお名前を、一文字違えて。
そして側妃候補のあの方は、やがて気づいてしまわれますのよ。ご自分が恋をしていたのは、手紙の中の、いない人だったということに。
わたくしは、何もしておりませんわ。だって、あれは――わたくしの言葉では、ございませんもの。
差し出された紙にはこう書いてございました。――側妃に迎えたい令嬢へ贈る、愛の手紙の下書き。
わたくし、七年間、殿下のお手紙をすべて代筆してまいりましたの。詫び状も、外交の親書も、お礼状も。筆跡も言い回しも、殿下ご本人よりずっと殿下らしく書けますのよ。
ですが、これは。
「――かしこまりました。これで、最後にいたしますわ」
その晩、婚約は破棄されましたわ。おめでとうございます。
翌朝から、殿下はご自分でお書きになりましたの。誤字も、敬称の間違いも、そのままに。隣国の陛下のお名前を、一文字違えて。
そして側妃候補のあの方は、やがて気づいてしまわれますのよ。ご自分が恋をしていたのは、手紙の中の、いない人だったということに。
わたくしは、何もしておりませんわ。だって、あれは――わたくしの言葉では、ございませんもの。
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