婚約者と妹に裏切られましたが、今さら戻ってこられても困ります

 王都でも名の知れた侯爵家――レイヴェルト家の長女、エレノアは、その日、自室で静かに紅茶を飲んでいた。

 本来なら、婚約者である第二王子アシュレイとの婚約披露会の準備で忙しい時期だった。

 だが屋敷の空気は妙にざわついている。

 使用人たちは目を合わせようとせず、廊下を歩けばひそひそ声が聞こえる。

「……何かあったのかしら」

 嫌な胸騒ぎがした。
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