縁綴り~御曹司は五年越しの妻を愛でる~
立辻羽瑠 二十七歳 緑松製薬株式会社 営業企画部所属
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諏訪元要 三十二歳 諏訪元株式会社 代表取締役副社長
『過去の恩の返しあいは、俺たちの代で終わりにしよう』
出会ったあの日、彼が口にした言葉。
彼が諏訪元家の息子でなかったなら。
私が緑松家の血縁者でなかったなら。
――私たちの縁は絶対に交わらなかった。
『結婚しよう』
迷いも情熱も恋情もない、淡々とした端的な求婚。
責任感の強い彼は諏訪元家を守るため、緑松家への恩を返す道を選ばざるをえなかった。
『待っていて』
空港で別れ際に言われた言葉。
ふいに抱きしめられた体が熱を持つ。
一度もともに新婚生活を送ることなく、彼は海外に赴任した。
五年間一度も会わなかったのに。
帰国した彼は甘い言葉と態度で私を翻弄する。
『ちゃんと俺を意識して、覚悟して。俺は新婚生活を終わらせるつもりはないから』
必要なのは〝結婚している〟事実だけだったはず。
〝さよなら〟の時間は、少しでも早いほうがいいのに。
優しく触れる指先に心が揺れる。
お願いだから、心に押し込めた想いに気づかせないで。
あなたを、好きになってはいけないから。
○●○●○●○●○●○●○●○●
こちらの作品はベリーズカフェ様、エブリスタ様にも投稿いたしております。
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諏訪元要 三十二歳 諏訪元株式会社 代表取締役副社長
『過去の恩の返しあいは、俺たちの代で終わりにしよう』
出会ったあの日、彼が口にした言葉。
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私が緑松家の血縁者でなかったなら。
――私たちの縁は絶対に交わらなかった。
『結婚しよう』
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責任感の強い彼は諏訪元家を守るため、緑松家への恩を返す道を選ばざるをえなかった。
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一度もともに新婚生活を送ることなく、彼は海外に赴任した。
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必要なのは〝結婚している〟事実だけだったはず。
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優しく触れる指先に心が揺れる。
お願いだから、心に押し込めた想いに気づかせないで。
あなたを、好きになってはいけないから。
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