荒廃した世界で人形はマスターを待つ

 かつて、世界最高の人形技師と呼ばれたシュリル・エンゲルは世界の平和を願って10体の自立型思考人形を創った。
 しかし、悲しきものかな、各国はこの10体のオートマタの覇権をめぐって争い、ついには世界大戦にまで発展させてしまった。このことがきっかけでシュリルは人類に絶望し、この10体のテンリエル・オートマタを各国の秘境に隠し、優しい人間が発見してくれることを願い、自分の研究室で自殺をした。
 シュリルが自殺し、世界大戦が勃発してからはや100年。
 人類はまた平穏を取り戻したかに思われたが......

 「いったい、いつになったらマスターは私を発見してくれるのでしょうか?」
 古き森の泉の中心にある遺跡でボソリと呟く。
 その人形の声は、まるで打ち寄せるさざ波のように美しくも寂しげであったという。
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