【短編】片耳だけの約束
24歳の蒼井陽は、年末の帰省で実家の部屋を片付けている時、引き出しの奥から片方だけのイヤホンを見つける。それは高校時代、恋人の成瀬みなみと片耳ずつ分け合って音楽を聴いていた、大切な思い出の品だった。
高校2年の春、図書館で出会った二人。内向的な陽と、音楽への情熱を持つみなみは、「片耳ずつイヤホンを分け合う」という小さな約束から心を通わせていく。Luneの「空、もうすぐ雨」、Amber Waltzの「イヤホン越しの君へ」─共有する音楽が、二人の距離を縮めていった。
恋人同士になった夏は、音楽に包まれた幸せな日々。しかし高校3年の秋、進路への価値観の違いから二人の心は離れ始める。音楽の道を目指し東京へ向かうみなみと、地元の大学を選んだ陽。やがて二人は別れを迎える。
6年後、陽は偶然にもみなみの音楽活動を知る。彼女が歌う「Half Song」には、あの頃の二人の記憶が込められていた。片方だけのイヤホンで聴く彼女の歌声に、陽の封印された想いが蘇る。
伝えられなかった気持ちと向き合う陽。果たして、二人の物語はどのような結末を迎えるのか──。
青春の甘酸っぱさと別れの痛み、そして静かな再生を、音楽と片耳イヤホンという繊細なモチーフで描く、心に響く青春小説。
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