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298.ドラゴンお父さんの魔法で料理開始?

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 何をするのかじっと見る僕達。ドラゴンお父さんは、魔獣の山の周りを囲っているゴミの前に手を出しました。そして。

 ボンッ!! 

 いきなりドラゴンお父さんの手の前で、小さな爆発が起きたんだ。僕もルリ達もビックリ。だって本当ボンッ!!って爆発したんだよ。慌ててスノーラの後ろに隠れちゃいました。でもドラちゃんはそのままニコニコ、ドラゴンお父さんを見ていたよ。

『みんな大丈夫だよ、今のはお父さんが力をおさえて出した、火の魔法だから』

 今のが火の魔法? だって爆発だったよ。それに火なんてどこにも出てなくない?

「ひ、にゃい」

『待って、今出てくるはず…。ほら』

 ほらって言われてスノーラに隠れながら、ドラゴンお父さんをまた見ます。でもそこにはやっぱり手を出しているだけのドラゴンお父さんが。爆発はしてないけどね。ん?
 
 何もない。そうまたドラちゃんに言おうとした時、何かドラゴンお父さんの手の前がもやもや揺れ始めたような? こう空気が揺れている感じです。
 そしてそのもやもやに見えるようになってすぐでした。透明のモヤモヤが段々とオレンジ色と赤色が混ざったような色に変わってきて、最後にはメラメラ火になったんだ。

『良し、では燃やすぞ』

 そう言ってゴミに火をつけるドラゴンお父さん。1箇所2箇所と火をつけていくと、じわじわとゴミが燃え始めて。ゴミ全体に火が付けば、中の魔獣の山にも火がついて、魔獣が燃え始めました。

『よし、これで良いな。火の強さもちょうど良いだろう』

『あとは魔獣が焼けるのを待つだけだね。はぁ、お腹減ったよ。こんなに動いたのは前回のディアブナス以来だからね』

 ドラゴンお父さんが手を下ろしたのを見て、スノーラの後ろから出て来た僕達に、ドラちゃんがニコニコしながら話して来ました。

『ね、火の魔法でしょう? 多分お父さんのね…』

 ドラちゃんが言うにはね。ドラゴンお父さんはディアブナス達と、全力で戦っていたでしょう。それで前に同じような事が何回かあったらしいんだけど。ドラゴンお父さん、全力を出した後は、小さい魔法を上手く使う事が出来なくなっちゃうんだって。

 完璧に出来なくなるわけじゃないんだけど、元々とっても強い力を使うドラゴンお父さん。それをいつも使っていたら森や林なんてすぐになくなっちゃうからね。だから普段はなるべく力を押さえて使っていて。

 でもドラちゃんのお母さんが、ドラゴンお父さんを怒る時は大変なの。ドラちゃんのお母さんはとっても強いらしくて、怒ってる時はドラゴンお父さんよりも強くなるみたい。だからドラゴンお父さんも本気を出してお母さんを止めなくちゃいけなくて。
 その本気を出した後に、小さな魔法を使おうとすると、全力の感覚が残ってるから、小さい魔法を使うのが難しくなっちゃうんだ。

 だから今ドラゴンお父さんは、全力を出さないように、魔法を小さく小さくしようとして、魔力がちょっと爆発したらしいよ。それがさっきのボンッ!!って爆発ね。でもその爆発のおかげで、魔力が弱まって、弱い火の魔法を使う事が出来たんだ。

 全力の後は全力の魔法しか使えなくなる? え? だってドラゴンお父さんはとっても珍しいドラゴンで、たくさんの魔法が使えて、それにとっても長生きだから、色々な事ができるんだよね? それなのに小さい魔法が使えない?

『お前はいまだに、威力の小さい魔法を使うのが苦手なのか?』

 と、ドラちゃんの話しを聞いてそう言ったのはスノーラ。いつの間にかドラゴンお父さんが僕達の所に来ていました。

『ふん、余計なお世話だ。大体少し力を入れただけで壊れるのが悪いだろう。そのせいで我の寝床が何回壊れたか。強化の魔法をかけてようやく寝床が壊れなくなったが。もう少し人間界も自然界も、我の力に対応できるように、強化すれば良いのだ』

『それではお前以外の者達が使う時に大変だろう。それに自然界もそうなったら、それこそ逆にこの世界は大変な事になる。お前が力を押さえれば良いことだ』

『ふん。まぁそれは良いとして。ちょうど良いくらいの火加減だろう。これならばしっかりと魔獣を焼く事ができる。我が火魔法で焼いても良かったが、それだと炭になる可能性があったからな。ハハハハハハッ!』

 ………ドラゴンお父さん、もう少し魔法練習した方が良いよ。僕はまだ全然魔法を使えないけど、もし魔法が使えるようになったら一緒に練習する?

 そんな話しをしているうちに、魔獣の山全体に火が回って、後は魔獣が焼けるのを待つだけになりました。
 小さな魔獣の山だけどね、これだけの魔獣が焼けるには時間がかかるから、僕達はまた片付けに戻る事に。

 大きなゴミの片付けは終わったけど、まだ庭とか噴水の方とか、片付ける場所はいっぱい残っています。だからそれの片付けをするんだ。僕達に大好きな庭もボロボロ。また綺麗な庭に戻るまで、どれくらいかかるかな? 

 と、その前にローレンスさんのお屋敷だよね。あんなに大きなお屋敷、そう簡単に新しいお屋敷が建つはずないし。それまでローレンスさん達はどうするんだろう。もし良かったらだけど、新しいお屋敷が建つまで僕達が住んでいたあの洞窟に行く? 
 ここからちょっと遠いけど、あの洞窟広いし、少しの間だったらみんな一緒に暮らせると思うんだよね。後でローレンスさんに聞いてみようかな?



『…おい』

『ああ、分かっている』

『僕はここで待ってるよ』

『お前も付いて来い』

『え~、だって君たちだけで何とかなるでしょう? アレくらいさ…』
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