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第2章 和輝ペットシッター?になる

049★契約成立

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 ほとんど教え諭すかのように言う和輝を無視しいて、その手を握ったままジィーと親指を見ていた桜は、小首を愛らしく傾げる。

 「あれ? もう出ない?
  どうしてだ? 美味しいのに」

 再度、自分の親指を平気で舐める桜に、和輝は無感動に答える。

 「もう傷は直した
  小さい傷だからな
  まして、自分で付けたヤツだ
  たいして深くないしな

  それより、こんなモンを
  舐めるくらいなら………
  ほら、これでも口に入れていろ
  貧血に1番効くヤツだ

  可愛いだろう、まるまるとした
  バンダ柄のウサギだ」

 そう言いながら、和輝は胸ポケットから出した、パンダ柄に作ったウサギ型の、本物のチョコレートを桜の口に放り込む。
 ウサギ型の大きなチョコレートの塊を口に入れられた桜は、もごもごと口を動かしながら、双眸を細める。

 和輝のくれる《気》も
 噴き出た血も………
 美味しいけど……やっぱり

 本物のチョコレートの方が
 美味しいかも………

 そうだ、あとで、色々な
 お菓子を作ってもらおう

 和輝の作るお菓子は
 どれも美味しいんだもん

 桜と和輝の本人達にとっては、他愛ないやり取りを見ていた、蓬莱家に長く仕える爺やは、内心で冷や汗と脂汗を交互に流していた。
 桜の一族への変化と、和輝の無頓着さに、胸を撫で下ろしながら………。

 「とりあえず、これで
  契約成立で良いのかな?」

 爺やに確認する和輝は、桜の行動には頓着しなかった。
 既に、治療室で、トランス状態に入った桜から、ハードでディープなベロチューをかまされた後なので、この程度では動じなかった。
  
 「はい、これで契約成立ですね
  それで、何時から仕事に
  入れますか?」

 「俺は、今日からでも構わないぜ
  どんなコトを、どの程度すれば
  良いのか、聞かなきゃならないし

  この2頭も、こんな遠出の散歩は
  初めてだろうから、疲労回復用の
  特別メニューの食事が必要だろう

  一応、通いで良いのかな?」

 むぐむぐと口を動かしていた桜は、口に放り込まれたチョコレートを食べ終わったので、和輝におねだりしてみる。

 「なぁー…和輝、桜はひとりで
  とても寂しいから………

  紅夜か白夜兄ぃ様が
  帰ってくるまでで良いから
  住み込みで働いてくれないか?

  勿論、優奈や真奈と一緒に
  ダメか?
  一緒に居るのが楽しいんだ」

  桜が、そう言うだろうと思っていた和輝は、肩を竦める。









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