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あなたのものに ※

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優しく重ねるだけの口づけに、アマリアは胸がとくとくと高鳴るのを感じていた。



こんなに、幸せなことだったなんて…



嬉しくて、ヘンドリックの頬に手をそっと添えた。

目を開けると、まっすぐに自分を見つめてくれていた。

なんだかむずむずする恥ずかしさをこらえながら微笑んだ瞬間、後頭部をつかまれて、強く唇を押さえつけるように再び口づけされた。



「んぅっ」



薄く開いていた唇の間から、ぬるぬるとした感触が口内に侵入してきた。

それがヘンドリックの舌だとわかると、びっくりして思わず身を引こうとしてしまう。

しかし、ヘンドリックの右手は頭に添えられたまま、左手でがっちりと体を固定するようにアマリアの体に回された。

何度も角度を変えて、奥で縮こまるアマリアの舌を暴き出し、執拗なまでに絡ませてくる。アマリアはうまく呼吸ができずに涙がにじむ。



「んんっ…んぁっ」



苦しいと思うのに、自分を強く求められているようで、その陶酔感に浸ってしまいそうになる。

やがて、ようやく唇を離したヘンドリックはアマリアを抱き上げ、アマリアのベッドへと移動すると、優しくアマリアを横にした。自身はすぐにベッドには上がらず、着ていたガウンを脱ぎ去ると、引き締まった上半身があらわになる。

アマリアは何度その肌を見ても、美しいと見惚れてしまう。自分とは全く異なる存在なのだと、そしてそれが溶け合うように熱い触れ合いをするのだといつもくらくらと酔ってしまいそうになる。

ヘンドリックはベッドに膝をつき、アマリアのガウンの紐も解いてしまう。真珠色のガウンの中は、太ももにわずかに届くような丈の煽情的な黒の下着だけだった。



「私の色だね、アマリア」



アマリアは自分の体を見下ろして、ぎこちなく視線をそらすと、胸元を隠そうと腕を交差した。

しかし、すぐにヘンドリックによって、その手は捕まれ、シーツに縫い付けられてしまう。



「私のものだ。これからも、ずっと」



「はい…私は、ヘンドリック様だけを愛しています」



アマリアが自分に伸しかかる体温にさえ体の奥が火照ってくるのを感じながら、目を潤ませて告白する。

ヘンドリックは両手をシーツに縫い付けたまま、再び口づけを繰り返す。やがて、その手がアマリアの頭をすくうようにして持ち上げ、浮いた体からするすると器用にガウンと下着を脱がしてしまう。

ベッドに横たわる裸身のアマリアは、ヘンドリックにとって毒でしかない。自分を失わせる唯一の毒だ。

それでも、その毒なしではもう生きることはできないと確信していた。



白い首筋に吸い付き、鎖骨を舌で辿り、アマリアの膨らみの敏感な場所へと舌を這わせる。

ピンク色のそれを丁寧に舐め続けていると、ぴくぴくとアマリアの体が反応する。



「ふぅっ…んぅっ…」



まだ酔いしれるのをこらえているのか、声を必死に抑えていた。それが、少しずつ解放されていくようにひとつひとつ鍵を外していくことがヘンドリックをより夢中にさせた。



柔らかい胸の形を確かめるように、手で包み、先端を口に含んでは、舌で転がす。すっかり立ち上がってしまっても、今夜は執拗なまでに責めたててやめなかった。



「あっ…ヘンドリック様…もうおやめに…」



ふるふると頭を振りながら、いまだに胸への愛撫をやめないヘンドリックの漆黒の髪に手を入れて懇願する。

ヘンドリックが口を離すと、自分の乳首が濡れて立ち上がっているのが見えて、恥ずかしそうに目線をそらす。

脚をもじもじとすり合わせていると、ヘンドリックが太ももに手を伸ばし、大きく開かせてしまった。

アマリアも強い抵抗もなく、いつものようにヘンドリックの優しい手つきに任せている。



「もう、これだけでこんなに濡れるようになったね、アマリア」



入口を指で濡れ具合を確かめているように触れていたヘンドリックが、すっと中に指を埋め込む。

アマリアの背がわずかに浮く。



「ああっ」



すぐにアマリアの快感を引き出す箇所に指を届かせては、緩く動かし続ける。



「んっ…あっ…」



痺れるような甘い感覚が、ちくっちくっと走るのに、決してそれを強めてはくれない。





もっと…強く…奥に触れてほしい…



もどかしくて、勝手に腰がヘンドリックの指に押しつけるように動く。それを妖艶な笑みを浮かべて堪能していることに気づいて、アマリアはいやいやと頭を振った。



「ヘンドリック様…もっと…」



「もっと、どうしてほしいんだい?」



「あっ…んんっ」



「ほら、アマリア。言ってくれないと、わからないよ」



アマリアは潤んだ目でヘンドリックを見つめる。アマリアのことは何でも知り尽くしている彼が、今何を欲しているかわからないはずはないのに…と恨めしくさえ思ってしまう。

ヘンドリックは優しく微笑んで、体の位置をずり上げると、アマリアに軽くキスをした。



「わかっているよ。アマリアにおねだりしてもらうのはまた今度にしようね」



「ひゃあっ。あああっ」



いきなり指が奥まで届き、アマリアの快感を余すところなく引き出していく。アマリアはヘンドリックの両腕をしっかりをその両手で握りしめ、自分に押し寄せる波を全身で感じていた。

体に重なるヘンドリックの体温も熱く、益々アマリアを昂ぶらせていく。



「あぁ‥ダメっ…もう…もう…」



「アマリア、愛しているよ。私のアマリア」



「ああああっ」



アマリアは体を震わせ、喉をそらせて絶頂を迎えた。その白い喉にヘンドリックが唇をつける。

やがて、名残惜しそうに指が引き抜かれ、ヘンドリックの体温が離れていく。

それがとても寂しくて、息がまだ荒いまま、ヘンドリックの行方を指先が探していた。ヘンドリックは身に着けていたトラウザーズを脱ぎ捨てると、アマリアの無防備に開いた脚の間に再び腰を据えた。

熱い蜜がとろとろと溢れる花弁に、熱くたぎった楔をぬるぬると擦り付ける。



「んぅっ」



それが達したばかりのアマリアには再び快感を呼び起こす刺激になる。

ヘンドリックが体を倒し、焦点の合わないアマリアの瞳をのぞきこんで、優しく微笑んだ。



「アマリア…私はもう待てない。アマリアの想いを聞いてまで、もう我慢することはできない。私のものにするよ、いいね」



アマリアは自分だけを見つめてくれるその頬に触れて、自ら口づけをした。



「はい、私をヘンドリック様のものに…」



唇が離れ、その漆黒の瞳を見つめていると、熱いものがあてがわれ、少しずつ自分の中に進んでくるのがわかった。



「あっ…あっ…」



これまでに十分解されて、蕩かされてきたアマリアの中は痛みをほとんど感じなかった。何かがせりあがってくる圧迫感はあったものの、それがヘンドリックのものだと思うと、ただ嬉しかった。

早くひとつになりたいとさえ、アマリアは思っていた。



「…大丈夫か?痛くないか…?」



「…ヘンドリック様…はやく…ひとつに…」



「っ…アマリア…君を傷つけたくないんだ。そんな煽ることは…」



「ヘンドリック様‥‥あああっ」



すがるように見つめたアマリアを、ヘンドリックが突き上げた。アマリアから嬌声が零れる。

はぁはぁと胸を上下させるアマリアは、自分の頬に添えられた手に、自分の手を重ねる。



「ヘンドリック様…?」



「あぁ、ひとつになったんだよ。ありがとう、アマリア。愛しているよ」



「私も…愛しています」



ヘンドリックの首に腕を回し、熱く唇を重ね、舌を絡ませる。それに夢中になっていると、ヘンドリックゆるゆると腰を動かし始めた。唇が重なったまま、アマリアは小さく喘ぎ始めた。



「はっ…あっ…んぅっ」



まだ奥を大きなもので暴かれるのに慣れないアマリアは、その違和感に表情が硬くなる。しかし、ヘンドリックの指が胸の尖りに触れてはじくと、アマリアの体も反応してしまう。体の奥から蜜が溢れてくる。

その指が段々と下に滑っていき、花芽を優しく探ると蜜をすくって塗り付けるように指を小さく動かし始める。



「ほら…こんなに溢れて…」



「あっ…やぁっ…」



花芽に与えられる刺激に集中していても、ヘンドリックの腰が奥をつき、アマリアの別の感覚を暴こうとするのもやめない。

体と感覚がバラバラになってしまいそうな快感に、ヘンドリックのたくましい背中に腕をまわしすがりつくようにして爪を立てる。



「ああっ…もうっ…きてしまうっ…」



ヘンドリックを迎えたまま、絶頂の波に襲われ、何度も体が震える。それに合わせて収縮する動きにヘンドリックは自身が吐精するのをこらえた。

くったりと体からも腕からも力が抜けてしまったアマリアから、体を起こすと、その妖艶さをもう一度堪能した。

投げ出された白く美しい腕。ふっくらとした白い膨らみの上にある桃色の先端、細くくびれた腰、そして、自身をつながっている熱い蜜口。このまま目に焼き付けておけたらいいと思えるように煽情的だった。

ヘンドリックがゆっくりと腰を前後に動かすと、奥に届いたのか時折きゅっと締め付けてくる。それでも、アマリアの体がその快感を引き出せるようになるまで、ゆっくりとゆっくりと腰を動かしながら、その様子を逃すことなく見つめ続けた。



「んぅ…あっ…あっ…」



やがて、アマリアの口から甘い声が続けて漏れるようになると、ヘンドリックは少しずつその速度を上げた。アマリアは蜜がしとどに溢れ、ぐちゅぐちゅとつながっているところから音が響く。

肌と肌がぶつかり、ぱんぱんと音を立て始めると、アマリアの嬌声は更に高く、大きくなる。



「ああっ…ああっ…」



ヘンドリックの絶頂が近くなると、アマリアをつないでいた楔を引き抜くと、その白い腹の上に吐き出した。



「ふっ…うっ…」



切なそうな声を漏らしたヘンドリックをとろんとした目でアマリアが見つめる。

ヘンドリックはベッドサイドのテーブルの引き出しから手巾を取り出すと、アマリアの体を拭いた。

それをベッド下に放ると、そっとアマリアの横に寝そべり、優しく首の下に腕を差し込んだ。



「愛しているよ、アマリア。ありがとう、私のために…疲れたろう?ゆっくりお休み」



「私…嬉しかったです…ヘンドリック様とひとつになれて」



「私もだよ。アマリアは私にいつも幸せをくれる。これからも大切にするからね」



「…はい…私も…」



うとうとしながらも懸命に言葉をつむいでいたアマリアは、重くなってきた瞼に耐えられず、ゆっくりと眠りについた。

その体を愛おしげに抱き寄せて、口づけをしては甘い余韻に浸っていた。





やがて、ヘンドリックは鈴で侍女を呼び、湯を持ってこさせると、ぐっすりと眠っているアマリアを自分の手で清め、抱き上げると続き扉から自身の部屋へと移動した。

そっとアマリアを横たわらせ、自分もその傍に寝転ぶと、アマリアの寝顔を飽きもせずに見つめていた。

するとアマリアがヘンドリックの胸にすり寄ってきて、顔を押しつけた。ヘンドリックは破顔して、その体を抱き寄せると、ぎゅっと抱きしめ、心地よい眠りについた。
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