修正パッチは届かない
世界を滅ぼす「魔王ルシエル」を討伐するため、勇者セレスティアとその仲間たちは長き旅路を行くはずだった。
しかし、旅の途中で発生した幾度もの「想定外(イベントの取りこぼしや、敵味方を超えた焚き火の夜)」により、いつしか彼らは互いをかけがえのない友として認め合うようになっていた。魔王城へたどり着いた時、そこにあったのは殺し合いではなく、旅の終わりを惜しむ温かな晩餐だった。
だが、それはゲームの「設計図」から大きく外れた大いなるエラー(バグ)だった。
世界の管理者である「神(プレイヤー)」は、不具合を察知し、容赦なく「修正パッチ」を適用する。
「想定外のルート」は一斉に消去され、勇者も仲間も、世界そのものが「正常な初期状態」へと巻き戻されていく。
光の粒子となって消えていくセレスティアの手を、ルシエルは掴むことができない。
すべてがリセットされ、誰もが二人を忘れた世界。
しかし、完全に消え去ることができなかった「エラーデータ」である魔王の心臓だけは、セレスティアの名前を刻み続けたまま、誰のいない真っ白な世界で永遠にフリーズし続ける――。
これは、「正しく修正された世界」の片隅で、二度とほどけないバグの糸に縛られ続けた、ふたりだけのメリーバッドエンド。
しかし、旅の途中で発生した幾度もの「想定外(イベントの取りこぼしや、敵味方を超えた焚き火の夜)」により、いつしか彼らは互いをかけがえのない友として認め合うようになっていた。魔王城へたどり着いた時、そこにあったのは殺し合いではなく、旅の終わりを惜しむ温かな晩餐だった。
だが、それはゲームの「設計図」から大きく外れた大いなるエラー(バグ)だった。
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