同名のレプリカ
学生時代からずっと、お互いにとっての「一番特別」な存在だった、葵(あおい)と栞(しおり)。
ふたりの間には名前のつかない確かな絆があり、葵は「このままで、一生隣にいられる」とどこかで信じ込んでいた。
しかし、社会という現実や「普通の幸せ」の壁の前に、栞は別の道を選ぶ。
栞が結婚を決めた相手は、よりによって主人公の葵と全く同じ名前を持つ男――「蒼(あおい)」だった。
迎えた結婚式の日。
葵は完璧な「親友」の仮面を被り、新婦のドレスの裾を直し、祝福の言葉を紡ぎ続ける。
周囲が「アオイくん」「アオイちゃん」と呼び交わす祝祭のなか、葵の心は静かにすり減っていく。
式が終わり、一人になった部屋に残されたのは、新郎新婦の名前が連なった引き出物のバームクーヘン。
綺麗に重なり合う年輪の層をフォークで崩しながら、葵は「家族」になったふたりの残りカスを一人、喉の奥へと飲み込んでいく――。
名前の呪縛と、決して交わらなかった関係の終わりを描く、ビターなGLストーリー。
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式が終わり、一人になった部屋に残されたのは、新郎新婦の名前が連なった引き出物のバームクーヘン。
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