喋らない少女についていったら村人もみな喋らなかった

 口数だけが取り柄の男、アケビ。

 長らく不孝をしてきた家を遂に追い出されて、今夜寝る場所もない。

 そんな折に、喋らない少女と出会う。

 少女は声を発さないが、無視をしている様子もない。

 ただ頷き、目を伏せたり見開いたりする。気がすむまで話を聴かせ、陽も暮れてきた。

 いくらなんでも少女の家に転がり込む訳にはいかないと、少女を家に帰そうとした時、

「来て」

 と一言、彼女が初めて声を発する。

 少女が先を歩き、アケビはその後ろを着いていく。

 三里程歩いた先には関所のようなものがあり、抜けるとそこは、誰も声を発さない沈黙の村だった。
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