特異存在報告書

【特異存在報告書】

特異存在報告書は、人知を超えた“異常”を記録し、後世に伝えるための資料である。

収録されるのは、目撃証言、現地調査記録、音声・映像の転写、被害の記録など、特異存在に関するあらゆる資料。ときに伏字や欠損が含まれるが、それは検閲の結果ではなく、“記録そのものが成立し得なかった痕跡”であることも多い。

報告書は無機質かつ冷静な文体で構成されているが、そこに綴られるのは理の外にある現象、名を持たぬものの“姿”、そして語られてはならぬ過去の災厄である。

内容は真実でありながら、同時に常に“完全な理解”からは逃れている。なぜなら――
“理解”とは、この世界の枠組みの内に収まるものだけを指すからだ。

調査官たちは記録する。
記録は、あなたに伝える。
あなたは、何を知るのか。

――そして、何を知らずにいられるのか。

【記録保管部】
████年██月██日
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